第2197回 3連敗を喫したラグビー代表(3) ベストメンバーの第2戦も大差で敗れる
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ギ・ノベス体制になってから最多の失点となった第1戦
プレトリアで行われた南アフリカ遠征の第1戦は終盤に次々とトライを奪われ、14-37でフランスは敗れた。このスコアは昨年初めにギ・ノベス体制になってから最多失点、最多得点差の失点となった。ここまでのフランスは守備は大きな破綻を見せなかったが、決め手を欠き、どちらかというと得点力不足が課題であったが、初めて守備、特にタックルの甘さが露呈した。
■TOP14決勝を戦ったクレルモン、トゥーロンの選手も合流
そして第2戦は港町ダーバンでの試合である。この第2戦から主将のギエーム・ギラドが戻ってきた。ギラドの所属するトゥーロンは今季はTOP14の決勝に進出、6月4日にクレルモンと戦い、惜しくも16-22で敗れている。したがって、この決勝に出場したギラド、フランソワ・トラン・デュック、ロマン・タオフィフェヌア(以上トゥーロン)、ダミアン・シュリー、ポール・ジャドラジアック、ダミアン・プノー、スコット・スペディング(以上クレルモン)はこの第2戦からの登場となる。
第2戦のフランスの先発フィフティーンは左のプロップにジェファーソン・ポワロ、フッカーはギラド、右のプロップにラバ・スリマニ、第2列はヨアン・マエストリとジャドラジアック、フランカーは左にヤクーバ・カマラ、右にケビン・グルドン、ナンバーエイトはルイ・ピカモール、スクラムハーフはバティスト・サラン、スタンドオフにトラン・デュック、センターはガエル・フィクーとプノー、ウイングは左にビリミ・バカタワ、右にヨアン・ウジェ、フルバックはスぺディングである。国内の決勝を戦ったメンバーが5人加わった。
■ベルナール・ラポルト会長も南アフリカ入り
また、この第2戦の直前からフランスラグビー連盟のベルナール・ラポルト会長も現地入りした。ラポルト会長は選手としてはローラン・ルノーで有名なボルドー・ベグレでプレー、引退後はスタッド・ボルドレーの監督を皮切りに、スタッド・フランセの監督に転じ3部所属のチームを2年で1部優勝という成績を残し、1999年から2007年までフランス代表を率い、6か国(5か国)対抗で4度の優勝を誇る。そして2007年から2009年まではニコラ・サルコジ政権下でスポーツ大臣を務めた政治家でもある。大臣を辞した後はトゥーロンの監督を務め、TOP14で優勝1回、欧州チャンピオンズカップで優勝3回という華々しい成績を残している。そして昨年冬にフランスラグビー連盟の会長に就任している。ノベス監督以下にとってはあまりにも輝かしい功績を持つ会長であり、チームに介入されることを懸念する声が出るのは当然である。そのためにベストメンバーがそろった第2戦では必勝を期したい。
■先制し、ボールを支配するもタックルミスが響き大差で敗れる
ベストメンバーとなったフランスは自陣で相手のボールを奪い、3分にバカタワ、プノー、スぺディングとつなぎ、フランスチャンピオンのスぺディングが隅にトライを決める。ゴールをサランが決めて7-0と先制する。しかし、ペナルティゴールを返され、20分には逆転トライ(ゴール成功)、さらに17分にもトライを許し、ゴールも決まって7-17となる。前半のうちにペナルティゴールを2本追加され、7-23というスコアでハーフタイムを迎えた。
後半に入って最初の得点は64分にトラン・デュックがペナルティゴールを決めて13点差とするが、68分にトライ(ゴール成功)を奪われ、20点差となる。71分にはこの日フランス勢では1人気を吐いたプノーが個人技で相手を次々と交わし、トライをあげるがトラン・デュックのゴールは失敗。南アフリカは終了間際にもトライをあげてゴール成功、37-15という第1戦とほぼ同じスコアで勝利した。
メンバーのそろったフランスはボール支配率では南アフリカを大きく上回ったものの、規律を欠いて、ペナルティを連発し、チャンスをつぶしてしまう。さらに守備ではタックルが甘く、守勢の南アフリカの数少ない攻撃を止めることができなかった。この敗因を第3戦への糧へとできるだろうか。(続く)