第2230回 16年ぶりの優勝目指すデビスカップチーム(5) 準決勝は2010年決勝の再戦となるセルビア戦
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■準決勝の相手は2010年の決勝で敗れたセルビア
ジョー・ウィルフィード・ツォンガ、ガエル・モンフィス、ジル・シモン、リシャール・ガスケの四銃士不在のフランスとアンディ・マリー不在の英国の対戦はフランスが3-0と一方的なスコアで勝利し、準決勝に進出する。2年連続の準決勝進出は2010年と2011年以来6年ぶりのことである。
その準決勝の相手であるが、1回戦でロシアを破ったセルビアと、同じく1回戦でクロアチアを下したスペインがセルビアのベオグラードで戦い、セルビアが3-0とスペインを下し、2013年以来4年ぶりに準決勝に駒を進めた。
■最終日のシングルスで連敗して優勝を逃したフランス
セルビアとフランスはこれまでに1度だけ対戦しており、それが2010年大会の決勝である。この模様については本連載の第1182回から第1190回で紹介したが、金曜日のシングルスは1勝1敗、土曜日のダブルスはセルビアが2セットを先取してからミカエル・ロドラとアルノー・クレマンのフランスペアが大逆転、3セットを連取して王手をかけた。日曜日のシングルス、第1試合は両国のナンバーワン対戦となるが、ノバック・ジョコビッチがガエル・モンフィスを3-0のストレートで破り、優勝の行方は最終試合に委ねられた。フランスはロドラ、セルビアはビクトル・トロイキと前日のダブルスに出場した選手の顔合わせとなるが、ロドラは精彩を欠き、0-3のストレートで敗れ、フランスは優勝を逃し、セルビアは国として初めて優勝を飾ったのである。
ジョコビッチは当時世界ランキング3位であったが、セルビアチームの大黒柱としてこの年のデビスカップには7試合に出場してすべて勝利している。その後、世界ナンバーワンの座を長く保ち、2004年にデビスカップチーム入りしてから、ここまでシングルスで31勝7敗、ダブルスで3勝3敗という成績を残している。今年も1回戦のロシア戦、準々決勝のスペイン戦に出場し、シングルスで2勝を挙げている。
■大黒柱のノバック・ジョコビッチは右ひじの故障のため欠場
ところが、ジョコビッチは今年のウィンブルドンの準々決勝で右ひじの故障のため、途中棄権し、その後、年内の試合に出場しないことを発表した。したがってセルビアはジョコビッチなしでのチームを編成しなくてはならない。さらに準決勝進出までジョコビッチとともにチームを支えてきたヤンコ・ティプサレビッチ、7年前のヒーローのトロイキも負傷でチームに加われない。結局、セルビアの監督でありダブルスプレーヤーであるネナド・ジモニッチは、ドゥサン・ラヨビッチ、ラスロ・ジェレ、フィリップ・クライノビッチを選んだのである。ジェレはデビスカップ初出場となる。一方、ダブルスに出場するジモニッチはデビスカップチームに1995年に入ったという40歳の大ベテラン選手である。しかしながら、ジョコビッチなどの離脱は厳しい戦いになる。
■ランキング上位のジョー・ウィルフィード・ツォンガとルカ・プイユ
一方のフランスであるが、全米オープンの終わった段階で単純に世界ランキングを並べると18位にツォンガ、22位にルカ・プイユ、30位にガスケ、31位にアドリアン・マナリノ、36位にモンフィス、43位にシモン、66位にピエール・ユーグ・エルベール、84位にジェレミー・シャルディ、96位にジュリアン・ベネトーと10人がトップ100入りしている。ヤニック・ノア監督はランキング順にメンバーを招集した。ツォンガ、プイユの2人をシングルスのメンバーとした。しかし、ツォンガは父親になったため、試合から遠ざかり、ウィンブルドンで敗れてからはほとんどいいパフォーマンスを残すことができない。またプイユもウィンブルドン2回戦、全米オープン4回戦と壁を破れない状態が続いている。そのため、バックアップメンバーとしてマナリノを選んだ。マナリノは日本の杉田祐一がトルコのアンタルヤ・オープンの決勝で破った相手であることから皆さんご存じであろう。
そしてダブルスはエルベールとニコラ・マユという陣容でセルビアを迎え撃つのである。(続く)