第2262回 ベルギーに競り勝ち、16年ぶりのデビスカップ優勝 (7) エース対決はダビッド・ゴファンの勝利
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ダビッド・ゴファンを破って優勝したロッテルダムオープン
2日目のダブルスを制したフランスが王手をかけて最終日のシングルス2試合を迎える。第4ラバー、すなわち最終日のシングルスの第1試合は両国のエース対決、ジョー・ウィルフリード・ツォンガとダビッド・ゴファンの顔合わせとなる。
世界ランキングで15位のツォンガと7位のゴファンの対戦成績はツォンガが4勝2敗と優勢である。さらに直近の戦いは今年2月のロッテルダムオープンである。灼熱の全豪オープンから北半球に戦いの場を変えた時期に行われるこの伝統ある大会は室内ハードコートで行われる。創設時からABNアモロ銀行のスポンサーシップを受けたATPワールドツアー・500シリーズのこの大会には欧州のトップクラスの選手が集まる。第6シードとして出場したツォンガは準々決勝で第1シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。この難敵に対し、2セットを連取して勝利。準決勝でも第4シードのトーマス・ベルディハ(チェコ)にストレート勝ちし、ツォンガは6年ぶりに決勝に進出する。
決勝で待ち受けていたのが第3シードのゴファンである。ツォンガは第1セットを落とし、この大会5試合目にして初めてセットを失う。しかしながらツォンガは第2セットを6-4、第3セットを6-1と逆転勝ちし、この大会で初めての優勝を飾る。これがATPツアーで13回目の優勝となった。
■今年の主要大会では振るわなかったジョー・ウィルフリード・ツォンガ
ツォンガは今年はロッテルダムオープンをはじめとして4勝しているが、四大大会やそれに次ぐマスターズ1000での成績は振るわなかった。四大大会に関しては全豪オープンで準々決勝に進出したのが最高、マスターズ1000に至っては一度も2回戦を突破することができず、最後のトーナメントとなるパリ・ベルシーはデビスカップ決勝と同じ室内のハードコート、2回戦でジュリアン・ベネトーに敗れている。
ビッグタイトルでは不本意な1年となったツォンガであるが、最後に花を飾りたい。
■ATPファイナルズで準優勝し、躍進の1年となったダビッド・ゴファン
一方のゴファンであるが、ロッテルダムでツォンガに敗れた2か月前には勝利している。ATPツアーの始まる前の2016年12月29日から31日までの年末に世界ランキング上位の6選手を集めたエキシビションマッチがアブダビで行われた。当時世界ランキング11位のゴファンは1回戦でツォンガを下し、決勝まで進出し、ラファエル・ナダルに惜敗したが、これが今年のゴファンの躍進の第一歩であった。
四大大会では準々決勝どまりであったが、10月には東京の楽天オープンで優勝、ATPワールドツアー・500シリーズでの初優勝となる。そして世界ランキングを上昇させ、11月にはATPファイナルズに初出場、準決勝でロジャー・フェデラー(スイス)を破る快挙を成し遂げる。決勝ではグリゴール・ディミトロフ(ロシア)に敗れるが、堂々の準優勝、そしてランキングを自己最高の7位としてデビスカップ決勝に臨んだのである。
■勢いに乗るゴファンがツォンガをストレートで下し、タイに
3日連続で満員となったリールのピエール・モーロワ競技場、本来ならば前日にはラグビーの試合が行われるはずであったが、ラグビーの試合はナンテールのUアリーナで行われ、まさかの23-23のドローに終わる。20年ぶりにホームでの秋のテストマッチで未勝利という情けない結果に終わったラグビー代表を横目に、テニスのデビスカップチームは期待を集める。
しかし、今季成長著しいゴファンの勢いをフランスのエースは止めることができなかった。第1セットは6-6となり、タイブレークにもつれ込む。タイブレークでも接戦となるが、ゴファンが7-5と競り勝って、第1セットをツォンガは失う。ツォンガはサーブ頼みの試合展開となり、ブレークポイントをしのぐことができず、第2セットは3-6、第3セットは2-6とストレートで敗れてしまう。第1セットは1時間20分かかる熱戦であったが、第2セットと第3セットは合わせて1時間24分、淡白な試合運びで敗れたツォンガはチームメイトのリシャール・ガスケに抱えられてコートを後にしたのである。(続く)