第2295回 崖っぷちのラグビー代表(9) スコットランド戦に臨むフランス
1998年2月20日、「サッカークリック」の「フランス・サッカー実存主義」でJ.P.モアンは連載を始めました。2018年2月20日に20年を迎えました。「サッカークリック」で92回、「スポーツナビ」で40回、そしてこの「フランス・サッカー幻想交響曲」で2295回、全部で2427回の連載を続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
■圧倒的に勝ち越しているスコットランドと対戦
リオネル・ボークシス、バティスト・クイユー、ルイ・ピカモールをメンバーに加えて臨むスコットランド戦、アウエーのエジンバラで2月11日に行われる。スコットランドとの対戦成績はフランスが53勝3分35敗と大きく勝ち越している。さらに2000年代に入ってからはフランスが18勝2敗と圧倒している。ただし、この2敗のうちの1敗は2年前のエジンバラでの6か国対抗での敗戦である。スコットランドは初戦のウェールズ戦では全くいいところがなく7-34と大敗する。特に組織的な守備に難があり、ホームのマレーフィールドでは2年前に勝利していることもあり、立て直したチームで臨みたいところである。
■アイルランド戦と3人メンバーを入れ替え
フランスの先発メンバーであるが、第一列は左からジェファーソン・ポワロ、ギレーム・ギラド、ラバ・スリマニ、ロックは左にアルツール・イトゥリア、右にセバスチャン・バーマイナ、左フランカーがベンセラス・ローレ、右フランカーにヤクーバ・カマラ、ナンバーエイトはマルコ・トーレーニュが務める。ハーフ団はスクラムハーフにマキシム・マシュノー、スタンドオフにボークシス。スリークォーターバックスは左からビリミ・バカタワ、ジョフレイ・ドゥーマイルー、レミ・ラメラ、テディ・トマ、フルバックにはジョフレイ・パリを起用する。
アイルランド戦と変わったのはケビン・グルドンが負傷したナンバーエイト、ジャリベールが負傷したスタンドオフと左のセンターの3人である。ナンバーエイトは昨年11月のニュージーランドとのキャップ非認定試合に出場し、前週のアイルランド戦の試合終盤に交代出場して代表デビューを飾ったトーレーニュの状態がいいということでピカモールをベンチに追いやって、トーレーニュが初先発を果たす。スタンドオフにはボークシスが6年ぶりの出場を果たす。
■負傷から復帰したジョフレイ・ドゥーマイルー
唯一、負傷とは関係のないメンバー変更は左センターである。ドゥーマイルーはアイルランド戦の時は負傷しており、ベンチ入りメンバーから外れマルクーシスの合宿所に残っていた。昨秋代表にデビューし、ニュージーランド戦と南アフリカ戦に出場したドゥーマイルーはスピードが持ち味で今季もリーグ上位のラロッシェルを支える存在である。
■クレルモンに移籍したグレイグ・レイドロー
一方のスコットランドはチームの立て直しのために6人を入れ替えてきた。その中でも注目すべきはスクラムハーフのグレイグ・レイドローであろう。第1戦のウェールズ戦ではベンチスタートとなり、後半の途中からアリ・プライスに代わって登場したが、フランス戦は先発である。2015年のワールドカップで主将を務めたレイドローはスクラムハーフ、スタンドオフを兼務するともにキッカーとしても活躍した。特に当時所属していたイングランドのグロスターでの日本戦は日本の決勝トーナメントの夢を砕く大活躍であり、世界の年間最優秀選手の6人の候補にもなっている。レイドローはこれまでに代表で582点を記録しており、これは809点のクリス・パターソン、667点のガビン・ヘイスティングスに次ぐ3番目の記録である。
そのレイドローは今季、グロスターからクレルモンに移籍してきた。昨季のフランスチャンピオンのクレルモンであり、今季もラロッシェル、モンペリエとともに優勝争いをしているが、年が明けてから負けが込んでいる。モルガン・パラ、カミーユ・ロペスというフランス代表クラスのハーフ団のいる中で、レイドロー自身も出場機会はそれほど多くはなく、半分程度の8試合にしか出場しておらず、トライはあげていない。スコットランド代表の中で唯一フランスのクラブに所属するレイドロー、フランス戦がチームに活力を与えることになるだろうか。(続く)