第2452回 ラグビー6か国対抗開幕 (2) 16点差を守れず、ウェールズに大逆転負け
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■過去2戦は接戦のウェールズと開幕戦で対戦
ジャック・ブルネル体制2年目の幕開けとなる6か国対抗、フランスの初戦の相手はウェールズであり、他の試合に先駆け、2月1日の金曜日の夜に行われた。前年の6か国では最終戦で対戦し、13－14と惜敗している。勝利したウェールズは2位、敗れたフランスは4位となったが、勝敗が逆になっていれば順位も逆になっている。舞台はホームのスタッド・ド・フランス、前回このスタジアムで戦った2年前は、20分を越えるロスタイムの間に途中で交代出場したプロップの選手が負傷したため、先発した選手に入れ替えてスクラムを押し込んで逆転勝利したという疑惑の勝利をあげている。
過去2戦は接戦であり、この試合で競り勝つことができるかどうかがファンの関心であった。スタッド・ド・フランスに集まった観衆はわずか5万5000人である。6か国対抗では過去最低の観衆となったが、一方ではこの低迷期にあってもフランスのラグビーファンのほぼ2割はワールドカップで優勝できると予想しているというアンケート結果もある。
■ポール・ウィレムスとロマン・エンタマックの2人の新人が先発
2019年最初の試合の先発メンバーは次の通りである。スクラムの第一列は左からジェファーソン・ポワロ、ギエーム・ギラド、ウイニ・アトニオ、ロックはセバスチャン・バーマイナとポール・ウィレムス、フランカーは左にベンセラス・ローレ、右にアルツール・イトゥリア、ナンバー8にルイ・ピカモール、ハーフ団はスクラムハーフにモルガン・パラ、スタンドオフはカミーユ・ロペス、スリークォーターバックは左からヨアン・ウジェ、ロマン・エンタマック、ウェスレイ・フォファナ、ダミアン・プノー、フルバックはマキシム・メダールというメンバーである。
史上初めての敗戦を喫したフィジー戦からメンバーを大きく入れ替えているのに加え、代表初キャップとなるのが前回紹介したウィレムスとエンタマックである。エンタマックは父エミールと親子二代のフランス代表として試合に出場している。またウィレムスは南アフリカ出身であるが、南アフリカ出身のフランス代表と言うと1990年にデビューしたエリック・メルビルが最初でこれまでに10人おり、今回の31人の中にも同じロックのベルナール・ルルーがいる。この中で最も輝く実績を残したのは1990年代の末から2000年代にかけて代表キャップ69と言う活躍をしたプロップのピーター・ドビリエである。26歳で代表デビューは遅いと感じられるが、ドビリエのような偉大なキャリアを重ねる可能性は十分にある。
■テンポよく試合を進めた前半のフランス
試合はフランスがテンポよく進める。5分にはピカモールがステップを切りながらゴールラインにボールを持ち込み、先制トライ。17分にはウェールズがトライかと思われたがビデオ判定で認められない。23分にはフランスのバックス陣がボールをつないで、最後は左隅にウジェがトライする。不調だったのはキッカーのパラ、2つのトライの後のゴールはいずれも失敗し、それ以外にペナルティゴールも失敗している。33分にペナルティを得たフランスはキッカーをロペスに代えて、成功、13－0とする。さらに前半のロスタイム、40メートル以上の距離があったがロペスがドロップゴールを決め、フランスは16－0と大量リードで折り返す。
■後半に3トライを奪われ、大逆転を喫したフランス
ところが、後半に入って試合は反転する。46分にフランスはあっさりとディフェンスラインを破られ、トモス・ウィリアムスにトライを奪われる。52分にはウェールズはヘイドリー・パークスがゴール前にボールを蹴りこむ。フランスのフルバックのメダールがゴールラインの前でセービングしていったんはボールを収めたが、ファンブル、このボールに飛びついてそのままゴールポスト真下にトライしたのはトライゲッターのジョージ・ノースであった。この直後に入ったダン・ビガーのペナルティゴールでウェールズは逆転する。
フランスも70分にゴール前のスクラムで押し込んで奪ったペナルティで19－17とする。そして72分、フランスはバックスが大きく展開する。しかしここでパスをノースがハーフウエーライン付近でインターセプト、そのまま50メートル独走してトライ、フランスは16点差を守れず、19－24とワールドカップイヤーの初戦を落としたのである。（この項、終わり）
