第2467回 若いメンバーでアイルランドに大敗(1) 連勝で上昇気流に乗りたいフランス

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■長いトンネルを抜けるか、フランス代表

 数年前から続くラグビーフランス代表の沈滞ムード、今年の6か国対抗も第1節はウェールズに14点差を逆転され、第2節ではイングランドに6トライを奪われるという連敗で始まり、ファンの中には失望感が漂った。そして迎えた第3節のスコットランド戦、ホームでの相性の良さもあったが、27-10というスコアで勝利した。後半80分過ぎてからも攻め続け、最後にグレゴリー・アルドリッチがチームで4本目のトライをあげ、6か国対抗では2年ぶりとなるボーナスポイントも獲得した。そしてハーフ団のアントワン・デュポンとロマン・エンタマックのコンビに象徴されるように若手選手が活躍し、長く続いたトンネルを抜け出すかに思われた。

■勝ち星先行ながら、内容が伴わない前年王者のアイルランド

 2月23日のスコットランド戦の勝利から2週間後、3月9日にはダブリンでアイルランドと対戦した。前年度の優勝チームであり、昨秋にはオールブラックスにも勝利し、世界ランキング2位、北半球ナンバーワンの力を誇るアイルランドは、今年も優勝候補の最右翼と目されたが、第1節でイングランドに20-32と敗れてしまう。第2節ではスコットランドに勝利したが、22-13とスコアを広げることはできなかった。さらに第3節のイタリア戦も前半終了間際に逆転され、リードを許して前半を折り返す。イタリアのプレースキックのミスにも救われ、後半逆転し、4トライをあげてボーナスポイントを獲得したものの、最終スコアは26-16にとどまっている。2勝1敗という成績ではあるが、2勝の相手が6か国対抗では下位が指定席のスコットランドとイタリア、そして得点差も内容も決して前年王者の面影を感じさせるものではない。

■昨年の流れを決めた1年前のフランス-アイルランド戦

 そして、思い出すのは昨年の6か国対抗、第1節である。本連載第2293回で紹介したが、前年の秋のテストマッチ最終戦で日本とドローになり、ギ・ノベス監督が更迭され、ジャック・ブルネル監督が就任して最初の試合となる。アイルランドに対して、近年はいるランドに対して分が悪いフランスであるが、未成熟なチームは守勢一方であったものの、失点を防ぎ、アイルランドにくらいついていく。両チームノートライの状態が続いていたが、終盤の72分にフランスはこの試合初めてのトライをあげ、ゴールも決まって31-12と逆転する。フランスがこのまま逃げ切るかと思われたが、後半のロスタイム、アイルランドは長い攻撃の末、ジョナサン・セクストンが40メートルのドロップゴールを決めてフランスは勝ちを逃す。一方のアイルランドはこの試合の勝利で波に乗り、6か国対抗優勝、そして秋の大金星へとつながった。さらにセクストンはこの年の最優秀選手に選出された。
 フランスがもしこの試合で勝っていれば、両チームの状況は大きく変わっているはずである。そういう意味ではアイルランドとの1年ぶりの対戦でフランスがアイルランドに勝利することができるならば、ワールドカップを控えたフランスは一気にギアチェンジをして上昇気流に乗ることも可能である。

■スコットランド戦と同じメンバーで臨むフランス

 スコットランド戦勝利で光明の見えたブルネル監督は、その勝利を導いた若いメンバーをアビバ競技場に送り込んだ。
 フォワード第一列はジェファーソン・ポワロ、ギエーム・ギラド、デンバ・バンバ、ロックはフェリックス・ランべとセバスチャン・バーマイナ、フランカーは左にベンサレス・ローレ、右にアルツール・イトゥリア、ナンバー8にルイ・ピカモール、ハーフ団はスクラムハーフにアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォーターバックは左からヨアン・ウジェ、ガエル・フィクー、マチュー・バスタロー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスである。
 ところが、スコットランド戦とは全く異なる試合展開となったのである。(続く)

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