第2537回 ニースでスコットランドに大勝(1) 一番遅く始動したフランスとスコットランド

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■振るわなかったアイルランドとニュージーランド

 開幕がいよいよ来月に迫ったラグビーワールドカップ、今年になって勢力図に変化があり、北半球のアイルランド、南半球のニュージーランドという両優勝候補が揺らいでいる。北半球の6か国対抗ではイングランドとウェールズに敗れて3位になる。グランドスラムを達成したウェールズであるが、8月に入ってテストマッチでイングランドに敗れている。
 南半球であるが、ラグビーチャンピオンシップがワールドカップイヤーのためにホームアンドアウエーではなく、1回戦方式で行われた。その結果、優勝は2勝1分の南アフリカ、2位は2勝1敗の豪州、3位は1勝1分1敗のニュージーランド、最下位は3敗のアルゼンチンとなった。ニュージーランドは南アフリカと引き分け、そして豪州とはアウエーのパースで対戦し、26-47と大差をつけられて敗れている。ニュージーランドの豪州戦で47失点はワースト記録更新となった。ニュージーランドがラグビーチャンピオンシップで3位になるのは3か国で行われていた2004年大会以来15年ぶりのことである。またニュージーランドは唯一の勝利となったアルゼンチン戦も20-16という辛勝であり、評価を落とした。

■優勝候補に名乗り出た開催国日本

 一方、開催国日本の評判がすこぶる高い。フィジー、トンガ、米国に3連勝し、今年になってテストマッチで全勝している唯一の国である。優勝候補筆頭にいきなり躍り出た。9月6日には熊谷で南アフリカと対戦、今年に入ってから無敗の国はこの2か国しかなく、ワールドカップ優勝の行方を占う大一番であろう。

■厳しい評価のフランス

 このような優勝争いにファンの関心は集まるが、フランスに対する評価は厳しい。6か国対抗でも2勝3敗で4位、今年もBクラスにとどまった。また、クラブレベルでも欧州チャンピオンズカップでは過去6年間フランス勢は決勝に進出していたが、今季はトゥールーズがベスト4に入るのが精一杯、決勝進出を逃した。ワールドカップでは今年の6か国対抗で8-44と歴史的な大敗を喫したイングランドだけではなく、伝統的に苦手としているアルゼンチン、さらに今年に入ってから日本に敗れるまで快進撃を続けた米国と同じグループである。次回の自国開催での出場権を獲得できる3位の座を米国と争い、3位以内に入ることがフランスの現実的な目標であろう。
 ワールドカップイヤーであることから6月のウインドウマンスの国際試合はなく、7月下旬から南半球勢はラグビーチャンピオンシップ、環太平洋地域の国々はパシフィックネーションズカップという大会が始まり、欧州勢は8月中旬からようやく試合が始まった。 フランス国内のTOP14が終了したのは6月15日、そこから選手は休養を取り、6月下旬から代表合宿を始めている。TOP14で決勝に進出したトゥールーズ、クレルモンの選手は7月上旬に合宿に合流した。

■出場国で最も遅い8月17日が初戦となるフランスとスコットランド

 フランスがワールドカップに向けてテストマッチを行うのは8月17日のスコットランド戦が最初である。欧州のライバル国であるイングランド、ウェールズ、アイルランド、イタリアは前週から試合を行っており、フランスとスコットランドが最も遅く始動することになる。
 両国とも近年の6か国対抗ではBクラスが続く。8月17日にニース、24日にスコットランドのエジンバラで対戦する。実力に応じた相手とのスパーリングマッチとなる。成績の振るわない両国にとってはこの連戦で調子をあげて、ワールドカップ本大会に臨みたいところである。
 南仏で合宿を行っていたフランス代表は、ニースのアリアンツ・リビエラ競技場での試合となったが、前回大会前はマルセイユのベロドロームで試合を行った。ニースでラグビーフランス代表の試合が行われるのはこれが初めてである。(続く)

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