第2548回 日本行きの31人のメンバー決定(3) 盛り上がりを欠く中で壮行試合のイタリア戦

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スタッド・ド・フランスで行われる壮行試合はイタリア

 フランスのワールドカップに向けてのスパーリングマッチ、最後の対戦がイタリアである。近年の6か国対抗では最下位が定位置であり、フランスとの実力差は明確である。本大会前の最終戦は力の劣る相手と対戦し、大勝して本番を迎えるというマッチメイキングはサッカーの世界ではよくあることである。そして舞台は本拠地スタッド・ド・フランスであり、シナリオ通り大勝して本大会を迎えたい。日本も過去の対戦成績で劣勢なチームと7月から8月にかけて対戦し、9月には過去に負けたことのない南アフリカを聖地熊谷に迎えることから、日本の皆様もよくお分かりであろう。
 しかし、フランスと優勝候補にもあげられる日本とでは状況は違う。フランスのこれまでの2戦、スコットランドとの対戦は1勝1敗であった。これをサッカーのホームアンドアウエー、2試合合計得点で考えるならば、ホームの第1戦で大勝したフランスに分があると考えることもできるが、今回の場合はほぼベストメンバーであった第2戦の結果が両国の実力を表しているであろう。特に第2戦の後半のフランスは無得点に押さえられ、試合直後からメンバー交代を望む声が沸きあがった。

■中5日で迎えるイタリア戦は本大会のトンガ戦を想定

 イタリア戦は8月30日の金曜日に行われ、土曜日に行われたエジンバラでのスコットランド戦から中5日のスケジュールとなる。ワールドカップでも第2戦の米国戦(10月2日)と第3戦のトンガ戦(10月6日)は中3日で行われる。アルゼンチン、米国と強豪相手の試合を終えての中3日での試合、フランスとしては開幕3連敗だけは避けたく、トンガにだけは勝利しておきたい。

■先発から外れた主将のギエーム・ギラド

 イタリア戦の先発メンバーはFW第一列はジェファーソン・ポワロ、カミーユ・シャ、ラバ・スリマニ、ロック陣はアルツール・イトゥリアとロマン・タオフィフェヌア、フランカーはベンセラス・ローレとヤクーバ・カマラ、ナンバーエイトはルイ・ピカモール、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォーターバックはガエル・フィクー、ウェスレイ・フォファナ、ソフィアン・ギトゥン、ヨアン・ウジェ、フルバックはマキシム・メダールである。
 なんといっても驚きはフッカーに主将のギエーム・ギラドではなくシャを起用したことであろう。ギラドよりもシャの方がFWとしてほとんどの数値で上回っている。ギラドが優れているのはラインアウトの成功率くらいであり、タックル数、ボールキャリーに関わる数字などはシャが優っている。主将を先発から外すという荒療治にジャック・ブルネル監督は出たのである。
 なお、ロックのタオフィフェヌアはバックアップメンバーのポール・ウィレムスに代わって7月にチームに加わっており、このポジションのポール・ガブリヤーグはスコットランド戦のラフプレーで出場停止処分となっている。また、リザーブのビリミ・バカタワもジョフレイ・ドゥーマイルーの負傷離脱によってメンバーに入った。

■前週に開幕したトップ14に関心が集中するフランス

 ワールドカップ前の壮行試合といってもフランス代表への期待は小さく、スタッド・ド・フランスの観客数はわずか3万人にとどまった。フランスのファンの関心はワールドカップよりも前週から始まった国内リーグのトップ14に留まっている。金曜日に試合をしているというのも、土日は国内リーグがあるということも影響している。
 この翌日に行われたボルドー・べグル-トゥーロン戦には1万7000人の観衆が集まり、翌々日にラデフォンスで行われたラシン92-カストル戦にはワールドカップメンバーから外れたテディ・トマ、ゴメスサ、リヨン-トゥルーズ戦にはマチュー・バスタローだけではなく、スコットランド代表から外れたリッチー・グレイ、元ニュージーランド代表というよりは元トヨタ自動車といった方が日本の皆様にはわかりやすいジェローム・カイノが出場し、1万3000人が集まった。これら国内外のトップスターが集まり、地元に密着したクラブの試合からなかなかワールドカップに関心が移らないのはフランスラグビーの宿命なのかもしれない。(続く)

このページのTOPへ