第2562回 米国から5トライを奪い勝利(3) 試合終盤に3トライをあげ、ボーナスポイントを獲得
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アルゼンチン戦とはメンバーを大幅に入れ替えたフランス
福岡での米国戦は3日後にトンガ戦、そしてその6日後にイングランド戦を控えているとあって、アルゼンチン戦とはメンバーを大幅に変更する。2試合連続して先発したのはロックから本職のフランカーで出場するアルツール・イトゥリア、センターのガエル・フィクー、ウイングのヨアン・ウジェだけである。アルゼンチン戦でベンチ入りしておらず、米国戦に先発する選手はプロップのエメリック・セティアノ、ロックのポール・ガブリヤーグ、フランカーのヤクーバ・カマラ、センターのソフィアン・ギトゥン、ウイングのアリベルティ・ラカである。
また、ダンバ・バンバがアルゼンチン戦で負傷して離脱し、本国からプロップを招集することになり、ウイニ・アトニオが有力であったが、同時期に行われた国内リーグ戦で負傷したため、セダト・ゴメスサが日本に向かった。結局アルゼンチン戦も米国戦も23人のメンバーに入っていないのはフッカーのペアト・モーバカと追加招集のゴメスサとピエール・ルイ・バラシだけである。
■前半に2本のトライをあげたが、反則数の多いフランス
試合に先立ってジャック・シラク元大統領の逝去に対し黙祷が行われ、米国のキックオフをルイ・ピカモールがキャッチして応援席は盛り上がる。フランスは6分に米国陣内22メートルに早速入り、ラックから出た球をカミーユ・ロペスが米国のバックスラインの裏にキックをあげ、これをウジェがクリーンキャッチし、そのままゴールポスト横にトライ、ウジェは敬礼でファンに挨拶する。コンバージョンのキッカーはトマ・ラモス、難なく決める。幸先良いスタートを切ったフランスであるが、米国がセットプレーで安定した試合運びでボールを支配する。またフランスはスクラムやラックなどで反則が目立つ。20分にはペナルティゴールを決めて3点を返す。対するフランスはアルゼンチン戦同様にオフロードパスを多用し、ゲインを図る。そして23分にも同じくロペスの左足からフランスは2本目のトライを奪う。米国陣22メートルに入ったところから、ロペスが右コーナーに向けてキックパス、これをラカがキャッチしてそのまま右隅に走り込み、代表として初めてのトライを決める。
米国は30分に10次攻撃の末にフランスの反則を誘い、ペナルティゴールを決めて6-12と食い下がる。前半だけでフランスは8つの反則、かたや米国はわずか1、アルゼンチン戦の課題が修正されないままにハーフタイムを迎えた。
■ベテランがグラウンド上に集結するが、追加点を奪えない苦しい展開
ライバルたちの状況を考えるならば、4トライあげてボーナスポイントをあげたいフランスは、後半開始時にギエーム・ギラド、45分にジェファーソン・ポワロとスリマニを投入しアルゼンチン戦の先発と同じ第一列になる。さらに57分にはロックのガブリヤーグに代えてセバスチャン・バーマイナ、フルバックにマキシム・メダールを入れる。この時点でポワロ、ギラド、スリマニ、ベルナール・ルルー、バーマイナ、ピカモール、マキシム・マシュノー、ロペス、ウジェ、フィクーとメンバーのうち30キャップ以上保持している経験豊富な選手が全員出場した。しかしながら、ロペスのキックも味方が保持することができず、なかなか追加点を奪うことができない。逆に自陣22メートル陣内で反則を犯し、ペナルティゴールを決めて12-9と3点差に詰め寄られる。
■ジャン・バプティスト・サラン、グレゴリー・アルドリット投入後の13分間に3トライ
ジャック・ブルネル監督はスクラムハーフのジャン・バプティスト・サラン、バックローのグレゴリー・アルドリットを投入し、この交代が功を奏す。67分にはアルドリットがゴール前に持ち込み、ラックを形成、サランが右に展開しフィクーがトライをあげる。さらに70分にはロペスがまたラカにキックパス、ここからカマラ、サランとつなぎ、サランがトライをあげ、ボーナスポイントを獲得する。さらに試合終了間際の79分には米国ゴールライン前のマイボールラインアウトからアルドリットが軸となってモール形成、モールを押し込んでポワロがトライをあげる。残り15分まで苦戦していたフランスであるが、試合の終盤に爆発し、33-9と勝利したのである。(この項、終わり)