第2563回 トンガに勝利、決勝トーナメント進出(1) 相次ぐ負傷交代、イングランドはアルゼンチンに快勝
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■日本到着後に4人が負傷離脱したフランス
九州シリーズの第1戦はボーナスポイントを獲得したものの、過去95年間敗れたことのない米国に試合終盤まで点差をつけることができず、反則の多さは改善されなかった。
フランスは試合翌日に福岡から熊本へ移動することになったが、チームは負傷による離脱者が続出した。まず開幕前にはセンターのウェスレイ・フォファナがバラシに代わり、アルゼンチン戦の後半に途中出場したバンバもゴメスサに代わった。そして試合には出場していないがペアト・モーバカも米国戦の翌日にMRIで診断し、チームを離脱、トロファをから呼び寄せた。さらに米国戦で先発したトマ・ラモスは途中でマキシム・メダールに交代したが、実は左ひざを負傷しており、チームを離れることになった。ラモスは米国戦では退場するまでキッカーも任されていたため、影響は少なくない。
■マキシム・メダール1人になってしまったフルバック
ジャック・ブルネル監督は本国から追加招集を検討したが、フルバックの適任者がいない。これまで代表のフルバックとして活躍してきたジョフレイ・パリ、スコット・スぺディング、ブライス・デュランなどではなく、ラロッシェルのウイングのバンサン・ラッテスを呼び寄せた。これまでに代表出場歴は2試合、2年ぶりの代表である。ラッテスはウイングだけではなく、フルバック、センターも経験したことがあるが、本職のフルバックがメダールだけになってしまった。 ブルネル監督以下の首脳陣は予選プールはアルゼンチン戦とイングランド戦が山場であるととらえ、この2試合に主力メンバーを投入し、米国戦、トンガ戦は主力以外のメンバー中心で臨み、イングランド戦に注力したい。メダール1人でフルバックをこなさなくてはならなくなった。
■プールCの三強対決のアルゼンチン-イングランド戦
トンガ戦の前日の10月5日、イングランド-アルゼンチン戦が行われた。プールCの三強同士の戦いであり、フランスに食い下がり、トンガに快勝したアルゼンチンがイングランド相手にどのような試合を行うのか、フランスのファンも注目した。この時点でプールCは首位イングランドが勝ち点10、2位フランスが9、3位アルゼンチンが6であり、アルゼンチンがイングランドに勝利すれば、決勝トーナメントをめぐる争いは混沌としてくる。アルゼンチンはニコラス・サンチェスがメンバーから外れ、ベンハミン・ウルダピジェタがスタンドオフに入る。
先制したのはアルゼンチン、6分にウルダピジェタがペナルティゴール、それに対してイングランドは8分にジョニー・メイがトライをあげ、オーウェン・ファレルのゴールは失敗したものの、5-3と逆転する。試合は互角の展開になるかと思われたが、17分にアルゼンチンのロックのトマス・ラバニーニがファレルに対し、ハイタックルの反則でレッドカードとなる。直後のペナルティゴールをファレルは外したが、14人のアルゼンチンに対しイングランドはフォワード戦で支配したボールをバックスに回してグラウンドを広く使い、アルゼンチンの消耗を待つ。35分にはエリオット・デイリーがトライ、前半終了間際にはベン・ヤングスがトライをあげて15-3と点差を広げてハーフタイムを迎えた。
■大勝したイングランドが決勝トーナメント一番乗り
後半も立ち上がりの45分にジョージ・フォードのトライでボーナスポイントを獲得、この日キックが入らなかったファレルがようやくゴールを決めて22-3とする。フォワード戦で数的不利になったアルゼンチンはバックスの展開に活路を求め、71分にマティアス・モローニが中央にトライしたのが後半唯一の得点(ゴール成功)であった。イングランドは後半も終盤にトライを重ね、75分にはジャック・ノーウェルがトライ、80分には交代出場したフッカーのルーク・カーワンディッキーがトライを重ね、後半は立ち直ったファレルがゴールを決めて、39-10という予想外の大差で勝利する。これでイングランドは決勝トーナメント進出一番乗りを決める。そしてフランスはトンガ戦に勝利すれば決勝トーナメント進出決定となったのである。(続く)