第2566回 トンガに勝利、決勝トーナメント進出(4) 台風の接近によりイングランド戦は中止、2位通過

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■死のプールが最初に決勝トーナメント進出チームが確定

 これまで3勝2敗と苦戦していたトンガに対し、トライ数で下回ったものの、23-21と2点差で逃げ切ったフランスは決勝トーナメント進出が決定した。大会が始まって3回目の週末を終えた時点で、決勝トーナメント進出チームはイングランドとフランスのみ、死のプールと言われたプールCが最初に決勝トーナメント進出チームが決まった。これは第1シードに相当するバンド1のイングランドとバンド2のフランスの試合がプール戦の最後に組まれていることが理由である。最初の週末にバンド1とバンド2のチームが対戦したプールA(アイルランド-スコットランド)とプールB(ニュージーランド-南アフリカ)、第2週に対戦したプールD(豪州-ウェールズ)は最終週までもつれ込むことになった。

■ベストメンバーでの試合で逆転首位を狙うフランス

 最終戦を残して決勝トーナメント進出を決めたフランスとイングランドはアドバンテージを得ることになった。首位となるためには最終戦でイングランドは引き分け以上、フランスは勝利が条件となる。両チームは他のグループの決勝トーナメント進出の状況を想定した試合運びができる。また、初戦のアルゼンチン戦に照準を合わせてきたフランスは米国戦、トンガ戦では主力以外を交代して出場させ、そこで活躍した選手をイングランドという決勝トーナメント級のチームに対して最終テストすることもできる。
 イングランド戦を伝統の一戦とフランス側はとらえているが、今年の3月の6か国対抗ではイングランドが44-8と歴史的な大勝を記録している。しかしながら、昨年の6か国対抗では双方1トライながらフランスが22-16と前年優勝のイングランドを下している。クランチ(粉砕)と呼ばれる両国の戦いはどうなるかわからない。
 一方、この試合で勝利すれば、プールDの2位チーム、2位になればプールDの首位との対戦が大分で行われる。プールDは先述の通り、豪州-ウェールズ戦がすでに9月29日に行われており、ウェールズが29-25で勝利している。ワールドカップのこのカードでは第1回大会の3位決定戦でのウェールズの勝利となった。このプールDも両チーム以外にフィジー、ジョージアという実力が控え、隠れた死のプールである。プールDの開幕戦で豪州はフィジー相手に後半初めまでリードを許すなど、本来の調子ではない。したがってプールDの首位突破はウェールズであり、豪州は2位に甘んじるであろう。
 ウェールズと豪州の調子を考えるならば、イングランドもフランスも首位で突破し、準々決勝は豪州と戦いたい。

■予想メンバーはほぼアルゼンチン戦と同じ、台風ハギビスの接近により試合は中止

 フランスのイングランド戦の先発メンバーはアルゼンチン戦とほぼ同じメンバーが予想された。FWはフロントローにジェファーソン・ポワロ、ギエーム・ギラド、ラバ・スリマニ、ロック陣はベルナール・ルルーとセバスチャン・バーマイナ、フランカーはベンセラス・ローレとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、センターはガエル・フィクーとビリミ・バカタワ、ウイングはヨアン・ウジェとダミアン・プノー、フルバックはマキシム・メダール、ロックのアルツール・イトゥリアに代えてルルーを起用、ルルーとバーマイナは2人とも本職のロックであり、このコンビはアルゼンチン戦と米国戦の終盤でフィールドに立っている。
 しかし、試合は2日前の10日に台風ハギビスの接近によりワールドカップ史上初めての中止が決定した。規定により引き分けとなり、フランスはイングランドに及ばず2位に甘んじた。イングランドは戦わずして首位を確定し、さらに準々決勝で豪州戦といいことづくめであった。フランスはイングランドに勝利して首位、というストーリーを実現することはできず、さらにベストメンバーでの試合を行うことができなかったが、1週間の休養を前向きにとらえて準備に向かったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ