第2570回 準々決勝でウェールズと対戦(4) トライ数で上回ったフランス、1点差で敗れる

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■序盤に連続トライ、ウェールズも反撃

 ウェールズのキックオフで試合が始まり、22メートル付近でキャッチしたグレゴリー・アルドリットがいきなりノックオン、このボールがウェールズに渡り、ウェールズが攻撃を続けるという波乱のスタートとなった。
 本来ならばここで出鼻をくじかれ、先手必勝という作戦のウェールズにスコアを許してもおかしくなかったが、フランスはこのピンチをしのぐ。逆に5分にはウェールズゴール前まで迫り、ラックからボールを持って抜け出したセバスチャン・バーマイナが左中間にトライする。ロマン・エンタマックのコンバージョンキックは外れるが、5点を先行する。さらに8分、自陣からビリミ・バカタワ、エンタマック、アントワン・デュポンとつないで突進、ウェールズ守備陣がとめることができず、最後はシャルル・オリボンが中央にトライ、今度はゴールも決まって12-0とフランスが得点差を広げる。
 フランスはその後も積極的に攻め続けるが、12分にハーフライン付近でタックルを受けたギエーム・ギラドがボールを奪われ、そのままアーロン・ウェインライトがゴール真下にトライをあげ、ダン・ビガーのゴールも決まり、12-7、予想外の展開となった。スコアが目まぐるしく動く試合となったが、フランスはこれまで課題だった反則の数において改善が見られた。だが19分にバーマイナがハイタックルの反則、ビガーのペナルティゴールを許し、ウェールズが2点差に迫る。

■試合を支配した前半のフランス

 ウェールズは28分にナンバーエイトのジョシュ・ナビディが負傷で退き、ロス・モリアーティが入る。しかし、モリアーティはグラウンドに入って間もなくハイタックルでシンビン、フランスはここから10分から数的優位に立つ。この10分間はさらにフランスの攻勢が強まる。陣地もボール保持率もフランスが圧倒する。31分にはゴール前10メートルのポイントから左ラインに展開、バカタワが力強く突進し、ウェールズのタックルをものともせずにトライをあげ、ゴールも決まり、19-10と再び差を広げる。
フランスはウェールズ陣深くに攻め込む時間帯が続き、38分にはウェールズがオフサイドの反則、ここでフランスはトライを狙っていい勢いがあったが、3点を狙う。エンタマックは試合中に負傷し、万全ではなかったが15人の中にキッカーは1人しかいなかった。エンタマックは22メートルライン上からの簡単なキックもミスしてしまうが、フランスは9点リードで折り返す。

■反則の少なかったフランス、セバスチャン・バーマイナがレッドカードで退場

 負傷したエンタマックに代えてカミーユ・ロペスを後半開始時に投入、ロペスがキックオフ。フランスは前半の勢いを保ったままで試合を進めるが、44分にロペスは40メートルの距離からドロップゴールを狙うが、外れてしまう。さらにメダールも50メートルの位置からドロップゴールを試みるが失敗する。
 そして49分、この試合を左右するプレーが生まれる。モールの中でバーマイナがウェインライトに対してひじ打ち、TMOの結果、バーマイナにはレッドカードが突き付けられ、フランスは残り30分間を14人で戦う。53分にはウェールズが22メートル上でペナルティを得るが、トライを狙わず、まず3点、ビガーが決めて6点差、射程距離に入る。逃げ切りを図りたいフランスはロックの不在を補うために今大会で好調なアルドリットを下げて、ロックのポール・ガブリヤーグを投入する。主将のギラドに代わったフッカーのカミーユ・シャとのラインアウトも決まり、期待に応える。

■スクラムを押し込まれ、トライを決められて逆転負け

 55分過ぎからフランスはウェールズ陣内に攻め込むが、ここでドロップゴールを狙わず、スコアをすることができない。66分には第三列のルイ・ピカモールを投入、スクラムハーフもバティスト・サランに代える。70分過ぎには両プロップも代え、第一列が全員入れ替わった。
運命の74分、フランスは自陣ゴール前でのマイボールスクラム、これをウェールズが押し込む。ウェールズのスクラムハーフが奪ったボールを真上にあげて、モリアーティがキャッチしてトライ、スクラムハーフの真上へのパスがスローフォワードではないかとTMOとなったが、トライ。1点差に迫ったウェールズはビガーがゴールを決めて20-19と逆転勝ちする。優勢だったチームが退場者を出し、劣勢だったチームが1点差で勝利したのは8年前の準決勝と同じである。ただし今度は赤いジャージのチームが勝利し、青いジャージのチームが敗退したのである。(この項、終わり)

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