第2588回 新方式となったテニスのデビスカップ(1) 第1シードで優勝を狙うフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■伝統を誇るデビスカップの従来の大会方式

 本連載はサッカーが中心であるが、それ以外のスポーツも積極的に取り上げている。その中で読者の皆様からの反応、アクセス数が非常に多いのがテニスである。日本におけるテニス人気は欧州では想像できないほどの熱気をはらんでいることがわかる。
 そのテニスの国別対抗戦であるデビスカップは長い歴史を有しており、最古の世界選手権、ワールドカップといってもよいであろう。
 週末の3日間を使い、シングルス4試合、ダブルス1試合、5セットマッチで勝敗を決めるトーナメント方式で行われ、最上級のワールドグループは16か国で構成され、1回戦、準々決勝、準決勝、決勝と年間に最大4回の試合の機会がある。

■選手の負担を勘案、スター選手の集まる大会への変更

 しかしながら、ツアー大会の合間をぬって行われること、選手にとってはオーバーワークとなることから、スター選手の欠場が目立ってきた。この危機感に対し、抜本的な改革案が提出され、昨年8月の国際テニス連盟(ITF)総会で承認され、今年から新方式となった。現行の大会形式の変革については本連載第2379回と第2380回で紹介し、従前の方式で行われた最後の大会でフランスが決勝でクロアチアに敗れたことは第2419回から第2428回で取り上げた。
 フランスは従前の方式の継続を主張したが、時代の流れ、特に新方式のメインスポンサーである日本企業の力には勝てない。テニスの世界において伝統国である日本の力は絶対的であり、大会形式が変更することになった。
 デビスカップの新方式についてはこれまでの本連載で紹介している通りであるが、前回大会の上位4か国、2月に行われた予選で勝ち上がった12か国、さらに主催者推薦枠のワールドカード2か国の18か国がスペインのマドリッドに集まり、3か国ずつ6つのグループに分かれて総当たりのリーグ戦(ラウンドロビン)を行い、各グループの首位となった6チームと2位の国の中でセット率の良い2チームをあわせた8チームがトーナメント形式で優勝を争う。決勝まで進めば5か国と対戦することになるが、選手への負荷を考慮し、各対戦はシングルス2試合、ダブルス1試合で行われる。そしてこの大会は11月18日に始まり、24日に終了、大会期間は7日間にまとめられている。まさに働き方改革により世界でも有数の労働時間の短縮を誇る日本の企業がスポンサーになるにふさわしい大会である。

■昨年準優勝のフランスは予選免除、日本は予選突破

 さて出場国であるが、昨年の本大会の優勝のクロアチア、準優勝のフランス、ベスト4の米国とスペインが予選を経ずに参加する。
 予選は昨年の大会の準々決勝敗退4チームに加え、プレーオフ(1回戦敗退の8チームが各大陸ごとのゾーンの上位チームと対戦)の勝者8チームに対して各大陸ごとのゾーンの上位12チームがチャレンジする形で2月最初の週末に2日間行われた。予選の結果、昨年ベスト8のベルギー、イタリア、ドイツ、カザフスタン、プレーオフに勝利したセルビア、豪州、カナダ、日本に加え、各大陸ゾーン上位のロシア、オランダ、コロンビア、チリが勝ち進んだ。日本の皆様は中国と広州で対戦し、シングルスの第1戦で西岡良仁がストレート負けし、第2戦でダニエル太郎が勝利したが、マクラクラン勉と内山靖崇のペアがフルセットの末敗れて、土俵際まで追い込まれたことを鮮明にご記憶であろう。最後のシングルス2試合で西岡とダニエルが連勝して逆転勝利し、見事に新フォーマットの最初の大会への出場権を獲得し、国全体に興奮をもたらした。

■第1シードに入ったフランス

 そしてワイルドカード2チームは主催者によって選ばれるが、予選に出場していない国が対象となり、デビスカップランキング上位のアルゼンチンと英国が選ばれた。
 予選後すぐにシード順が発表され、2月4日現在のデビスカップランキングで決定され、フランス、クロアチア、アルゼンチン、ベルギー、英国、米国の6チームが第1シードとなり、日本は最下位の第3シードとなったのである。(続く)

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