第2618回 ラグビー代表、自国開催に向けて好発進(2) 経験値の少ない選手が大半の42人
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■新監督は1990年代の名スクラムハーフのファビアン・ガルチエ
昨年のラグビーワールドカップでは死のプールと言われたプールCでは苦手としているアルゼンチンに勝利し、決勝トーナメント進出を決め、決勝トーナメントでは昨年の6か国対抗の覇者ウェールズに惜敗、予想以上の成績を残したフランス代表であるが、ジャック・ブルネル監督のワールドカップ後の退任はかなり早い段階から決まっていた。後任の監督はファビアン・ガルチエ、1990年代の名スクラムハーフである。引退後は国内の強豪チームの監督を歴任し、昨年の4月にワールドカップ後の監督就任含みで代表チームのコーチとなっている。ワールドカップの首脳陣席での姿をご覧になった日本のファンの方も少なくないであろう。すでにブルネル監督はレームダック化し、選手はコーチのガルチエの方ばかり見ているという噂もあったほどである。いずれにせよ、自国開催のワールドカップに向けて切り札の登場ということである。
■大幅にメンバーが入れ替わったフォワード陣
そのガルチエ監督は1月8日に今年の6か国対抗に臨む42人のメンバーを発表した。注目はどれだけのメンバーを入れ替えるかということである。ワールドカップ終了時点で代表からの引退を表明していたのはルイ・ピカモール、ギエーム・ギラド、セバスチャン・バーマイナ、ウェスレイ・フォファナの4人である。
ポジション別にみていくとプロップはワールドカップメンバーからはシリーユ・バイユ、ジェファーソン・ポワロ、ダンバ・バンバ、代表復帰組としてウイニ・アトニオ、新メンバーとしてジャン・バティスト・グロ、モハメド・アウア、フッカーはワールドカップはおらず、復帰メンバーとしてジュリアン・マルシャン、新メンバーとしてテディ・ボービニー、アントニー・エトリヤールとなる。ロックはワールドカップメンバーからはベルナール・ルルー、復帰メンバーとしてロマン・タオフィフェヌア、ポール・ウィレムス、新メンバーとしてシリーユ・カゾー、キリアン・ジェラシ、ボリス・パル、第三列はワールドカップメンバーからシャルル・オリボン、グレゴリー・アルドリット、復帰メンバーとしてフランソワ・クロ、セクー・マカルー、新メンバーとしてアレクサンドル・フィシェ、カメロン・ウォーキー、セレバジオ・トロフアとなった。フォワード陣は大幅にメンバーが入れ替わった。
■ワールドカップで活躍した選手が中心のハーフ団
スクラムハーフはワールドカップメンバーのアントワン・デュポン、バティスト・サラン、復帰メンバーのバティスト・クイユー、スタンドオフはワールドカップで活躍したロマン・エンタマックに復帰メンバーのマチュー・ジャリベール、新メンバーのルイ・カルボネルとハーフ団はワールドカップメンバーが中心となる。
■センター、ウイング、フルバックも半数以上が入れ替わる
センターはワールドカップメンバーのガエル・フィクー、ビリミ・バカタワ以外は新メンバーでジュリアン・エリトー、イバン・レイラック、アルツール・バンサンが入る。ウイングもワールドカップメンバーのダミアン・プノー、バンサン・ラッテス、テディ・トマに新メンバーとしてジェルベ・コルダン、レスター・エチアン、ガブリエル・エンガンデベが加わった。フルバックにはワールドカップでは途中帰国したトマ・ラモス以外は新メンバー、アントニー・ブティエ、キリアン・アマダウイである。
ワールドカップメンバーはフォワードで6人、バックスで9人である。途中合流者を含むワールドカップメンバーは35人いたが、そのうち20人は今回の招集メンバーから外れたのである。
復帰メンバーのうち代表出場歴が二桁あるのはアトニオとタオフィフェヌアのみで、ほとんど経験のない選手が中心である。タオフィフェヌアは昨年のワールドカップではバックアップメンバーに入っていたが、アトニオは昨年の6か国対抗以来の出場となる。
このように経験値の少ない選手が過半数を占めるチームとなったのである。(続く)