第2620回 ラグビー代表、自国開催に向けて好発進(4) イングランドに完勝、5人が代表デビュー

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ準優勝メンバーの並んだイングランド

 昨年のラグビーワールドカップで準優勝したメンバーが中心のイングランド、先発メンバーのうち、ワールドカップメンバーが13人、さらに決勝戦に出場した選手が12人であり、エディ・ジョーンズ監督は主力メンバーを維持して臨む。ワールドカップメンバーでないのはロックのチャーリー・ユールズとフルバックのジョージ・ファーバンクだが、ユールズはすでにキャップ数は二桁、ファーバンクだけが新人である。
 準決勝のニュージーランド戦とは一転して不本意な結果に終わった決勝の南アフリカ戦の悔しさを忘れていないイングランドのフィフティーンであったが、南アフリカ戦と同じような試合展開となった。

■急遽先発出場となったバンサン・ラッテスが先制トライ

 イングランドのジョージ・フォードのキックオフをフランスのアントワン・デュポンがキャッチして試合が始まった。中盤での攻防が続いたが、5分にフランスはテディ・トマがビッグゲインし、イングランドのゴール前に迫る。ゴール前5メートルのところからロマン・エンタマックが内に返し、最後はバンサン・ラッテスが今年最初のトライを決める。実は左ウイングには昨年のワールドカップでも活躍したダミアン・プノーが先発予定であったが、試合の前日に負傷し、急遽ラッテスが先発メンバーとなった。ラッキーボーイの先制トライに続き、エンタマックのゴールも決まり、7-0とフランスがリードする。その後もフランスは攻撃を続け、14分にはイングランドの主将オーウェン・ファレルが危険なタックルを犯し、ペナルティゴールのチャンスをつかみ、35メートルのペナルティゴールをエンタマックが決めて10-0とリードを広げる。反撃に出るイングランドであるが、フランスは組織的なディフェンスでイングランドの攻撃を止める。
 さらにフランスは19分、イングランドのファーバンクのキックをキャッチしたデュポンがショートパントをあげて、これをラッテスがキャッチし前進、最後は主将のオリボンがトライ、TMOの判定となったがトライが認められ、エンタマックのコンバージョンキックも決まり、17-0という大差でハーフタイムを迎えたのである。

■新主将のシャルル・オリボンが2本のトライ

 後半に入っても先に得点を取ったのはフランスだった。この日のイングランドはハンドリングエラーが多く、さらにフランスのディフェンスの出足が早く、イングランドがミスしたボールにすぐに反応する。55分にデュポンが左サイドを駆け抜け、最後は内に返してオリボンに戻す。オリボンはこの日2本目のトライを決め、エンタマックもコンバートを決めて、24-0と試合前は誰も予想がつかない点差となった。

■遅すぎた反撃、ジョニー・メイのトライも及ばなかったイングランド

 これに対してイングランドは58分にスクラムハーフのベン・ヤングスのキックをエースのジョニー・メイがキャッチし、最後はテディ・トマに競り勝ってトライをあげ、初得点、フォードのコンバートも成功し、7点を返す。ようやくここでイングランドは目を覚ます。65分にはメイが右サイドのタッチライン際を快足を飛ばして走り、そのまま走りこんでトライをあげる。ファレルのコンバージョンキック成功によってイングランドは14-24と追い上げる。
 しかし、大差をつけられた後では遅かった。フランスの守備陣から3つ目のトライを取ることができず、時間は80分を迎える。80分を超えたところでイングランドにペナルティキックが与えられるが、勝利の可能性のなくなったイングランドはショットを選択、ファレルがこの日最初のペナルティゴールを決めたところで試合は終了する。イングランドは7点差まで追いつめてボーナスポイントを獲得したが、今年の6か国対抗の初戦はフランスばかりが目立つ試合となり、24-17という点差以上の印象を残したクランチとなった。 なお、フランスは後半に入り選手交代を進め、ロックのボリス・パル、フランカーのカメロン・ウォーキー、アルツール・バンサンも代表デビュー、先発メンバーを含め5人が初めての青いジャージーで白星を飾ったのである。(この項、終わり)

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