第2770回 6か国対抗に向けてフランスラグビー始動(2) 逆転優勝目指すフランスとアイルランドが対戦
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■6か国対抗の最終戦を控えてベストメンバーで臨むウェールズ戦
秋から冬にかけて6試合を行ったラグビーのフランス代表であるが、第1戦は10月20日、ウェールズとのテストマッチである。6か国対抗は感染がいち早く拡大したイタリアは最終節のイングランド戦だけではなく第5節のアイルランド戦も未消化だったため、秋に2試合を行うこととなり、フランス-ウェールズ戦が最終節の前週にテストマッチとして組まれた。両チームの対戦は僅差が続き、2019年秋のワールドカップではウェールズが1点差、2020年の6か国対抗ではフランスが3点差でそれぞれ勝利している。フランスは翌週のアイルランド戦の結果によっては6か国対抗での10年ぶりの優勝も可能であり、アイルランド戦に出場予定のベストメンバーで臨んだ。
■ロマン・エンタマックの活躍でウェールズを逆転
スタッド・ド・フランスは無観客であるが、関係者200人だけが試合はフランスがキックオフボールの処理を誤り、1分にウェールズがリー・ハーフペニーのトライで先制、ダン・ビガーがゴールを成功させる。さらに8分にもビガーがペナルティゴールを決め、フランスは10点のビハインドとなる。ここからフランスは反撃を開始、13分にはロマン・エンタマックの突破からシリーユ・バイユがトライをあげ、エンタマックがゴールを成功させる。その後、ウェールズはビガーが難しい角度のペナルティゴールを成功させ、突き放したかに見えたが、31分にまたエンタマックの好プレーがトライを引き出し、アントワン・デュポンがトライ、エンタマックのゴールも決まり、14-13と逆転する。35分にはデュポンが2本目のトライ、ゴールも決まって21-13として後半を迎える。
後半もフランスの勢いは止まらず、66分には主将のシャルル・オリボンがゴールポスト真下にトライ、73分にはテディ・トマが自ら蹴りこんだボールを押さえてトライする。エンタマックはこの日キックでゴールを狙ったのは6回(ゴール5回、ペナルティゴール1回)、そのすべてを成功させる一方、ウェールズは後半のノース・スミスのトライ後のゴールなどビガーが外した。トライ数だけではなく、両キッカーの差もあり、最終スコアは38-21と最近のこのカードでは得点差をつけてフランスが勝利したのである。
■逆転優勝の可能性のあるフランスとアイルランド
そして10月31日、今年の6か国対抗の最終戦としてスタッド・ド・フランスでフランス-アイルランド戦が行われた。すでにイングランドはイタリア戦に34-5と勝利、勝ち点18、得失点差+44で全日程を終了している。これを追って勝ち点14のアイルランドと勝ち点13のフランスが対戦する。アイルランドは勝利すれば、勝ち点で並び、4トライ以上あげてボーナスポイントを獲得すれば逆転優勝となる。フランスは4トライ以上奪って勝利して、ようやくイングランドと勝ち点で並ぶ。勝ち点で並んだ場合は、イングランドと得失点差の勝負となる。対戦前の得失点差はフランスが+13、アイルランドは+38である。アイルランドは7点差以上で勝利すればいいが、フランスは31点差以上が要求される。
■フランス先制、1人退場者を出している間にアイルランドが追いつく
無観客のスタッド・ド・フランス、両チームとも先発メンバーは前週の試合から1人入れ替えただけ、この試合に向けた本気度がうかがえる。
近年フランスに対して相性の悪いアイルランドは先制点を奪うため、開始5分に57メートルのペナルティゴールをコナー・マレーが狙うが失敗する。一方、フランスは7分にデュポンが左隅に先制トライ、前週からキックが好調なエンタマックがゴールも成功させる。しかし、その後、フランスはアントニー・ブーチエが故意のスローフォワードで10分間の退場となる。この10分間、アイルランドは数的有利を生かしたゴール前のスクラムからモールを組んで押し込み、プロップのキアン・ヒーリーがトライを奪い、ジョナタン・セクストンがゴールを決めて同点に追いついたのである。(続く)