第2778回 イタリアに快勝、好スタート(1) キャリアの少ない選手を中心に初戦に挑むフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新型コロナウイルスの感染の勢いが止まらない中で6か国対抗が開幕

 フランスでも新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大し、1日あたりの新規感染者数は2万人を超え、さらにその1割以上が感染力の強い変異種である。累計の感染者は300万人を超えている。1月末からはEU圏外の国との間で出入国を禁止、そしてEU圏内についてもPCR検査の陰性証明が必要、そして大規模ショッピングセンターの食品売り場以外の閉鎖という措置が取られた。3回目の外出制限の措置もあるのではないかという状態で、今回の6か国対抗の開催も危ぶまれた。しかし、2月6日に今年の6か国対抗は無観客ではあるが、開催にこぎつけた。関係者の尽力に敬意を払い、感謝しなくてはならない。

■今年の開幕戦となったローマでのイタリア戦

 第1節は2月6日にイタリア-フランス戦とスコットランド-イングランド戦、7日にウェールズ-アイルランド戦が行われる。イタリア-フランス戦は15時15分キックオフであり、17時45分キックオフのスコットランド-イングランド戦よりも先に行われる。フランスは昨年の6か国対抗では最後の試合を戦っており、今年は最初の試合を戦うことになる。
 フランスは昨年、イタリアとスタッド・ド・フランスで2回対戦している。2月9日に行われた6か国対抗では35-22、また、11月28日のオータムネーションズカップは、本連載第2775回で紹介した通り、後半に突き放して36-5と勝利している。
 今年の6か国対抗はローマのオリンピックスタジアムで行われ、2年ぶりのローマでの戦いとなる。2年前のローマでの対戦は、フランスが25-14と勝利したが、終了間際のダミアン・プノーのトライでようやく突き放している。
 フランスはイタリアには2013年の6か国対抗で敗れてからは10連勝しているが、試合展開としては必ずしも楽ではない。

■オータムネーションズカップ決勝とは大幅にメンバーを入れ替え

 昨秋のオータムネーションズカップのイタリア戦からはフランスは若手メンバー中心で試合に臨んでいる。6か国対抗の初戦では久しぶりに主力がカムバックすると考えられる。あわせてファビアン・ガルティエ監督が、若手にどれだけのチャンスを与えるか、どのようなメンバーを起用するのか、注目を集めた。
 FW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、モハメド・アウア、第二列はベルナール・ルルーとポール・ウィレムス、フランカーはディラン・クレタンとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはマチュー・ジャリベール、スリークォーターバックスは左からアルトゥール・バンサン、ガエル・フィクー、ガバン・ビリエ、テディ・トマ、フルバックはブリス・デュランというメンバーである。
 直近の試合、すなわちオータムネーションズカップの決勝のイングランド戦に出場した選手はジャリベール、ビリエ、デュランというバックスの3人だけである。
 また、ワールドカップ以降に代表入りした選手はアウア、クレタン、ビリエの3人である。ビリエは昨秋のイタリア戦で代表にデビューしたばかりである。

■キャリアの浅い選手中心のチーム構成

 となるとベテランぞろいかと思われるかもしれないが、それ以外のメンバーもキャリアが浅い選手が中心となった。代表出場試合数が二桁となるのはバイユ、ルルー、ウィレムス、オリボン、デュポン、フィクー、トマ、デュランの8人だけであり、チーム全体としてキャリアの浅い選手が中心となっている。
 リザーブの選手もキャリアが少なく、二桁の代表出場歴があるのはバティスト・サラン、ロマン・タオフィフェヌア、ダミアン・プノーだけである。なお、ロマン・エンタマックは負傷中であり、6か国対抗の序盤は試合に出場することができず、この試合のメンバーから外れ、スタンドオフの控えは追加招集のルイ・カルボネルである。カルボネルも昨秋のイタリア戦で代表にデビューしたばかりであるが、トゥーロンに所属している。ガルティエ監督はかつてトゥーロンの監督を務め、その力量は把握しているのである。(続く)

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