第2779回 イタリアに快勝、好スタート(2) ボーナスポイント付きで6か国対抗の開幕戦を勝利

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■低迷の続くイタリアに10連勝中のフランス

 2000年に6番目のチームとして6か国対抗のメンバーに入ったころはしばしば勝利をあげていたイタリアであるが、この10年ほどは勝利からは遠ざかっており、2015年にスコットランドに勝利したのを最後に27連敗中であり、世界ランキングも14位まで下がっている。また、ワールドカップでも第1回以来欠かさず出場しているが、決勝トーナメントに進出したことはない。
 前回の本連載でも紹介した通り、フランスは2013年の6か国対抗で敗れたのが最後で、それ以降は6か国対抗7試合、ワールドカップ1試合、テストマッチ1試合、オータムネーションズカップ1試合で10連勝している。

■ワールドカップ後にメンバーを大きく入れ替えたイタリア

 欧州の強豪国の多くはワールドカップ後に大きな世代交代をしなかったが、イタリアは大幅にメンバーが入れ替わり、このフランス戦の先発メンバーのうち、ワールドカップメンバーは主将のルカ・ビギなどわずか4人、すべてFWの選手であり、バックス陣にワールドカップ経験者はいない。代表歴が一桁の選手は実に11人、代表デビューも2人である。ワールドカップ以降、昨年は6か国対抗で5戦全敗、オータムネーションズカップでもフィジー戦の不戦勝を除くと3戦全敗である。
 6か国対抗の初戦はローマでのホームゲームとはいえ、昨年の6か国対抗、オータムネーションズカップでいずれも準優勝のフランスと対戦するのは荷が重い。

■ディラン・クレタン、アルトゥール・バンサンが代表初トライ

 イタリアのキックオフで始まった試合、試合の序盤はキックの応酬となる。そしてこのキック合戦からトライに結び付けたのはフランスであった。6分にテディ・トマがボールを持って走り込み、最後はフランカーのディラン・クレタンがトライ、代表6試合目にしてうれしい初トライとなった。マチュー・ジャリベールのコンバージョンも決まって7-0とリードする。ジャリベールは11分にもペナルティゴールを決めて、ロマン・エンタマック不在の穴を埋める。
 イタリアも18分にはフェーズを重ねた攻撃を見せ、シャルル・オリボンの反則を誘ってペナルティゴールで3点を返す。
 フランスは27分にチーム最多キャップのガエル・フィクーが代表で通算10本目のトライ、ゴールも成功し、17-3と突き放す。さらに34分にはイタリアのパスの乱れを突いてアルトゥール・バンサンがゴール真下にトライを決める。バンサンも代表初トライである。イタリアのベンチは前半から選手を交代させるという策に出るが、フランスのタックルが決まって、攻撃を組み立てることができず、フランスが24-3と大きくリードして折り返す。

■トライゲッターのテディ・トマ、ロマン・エンタマックの不在をカバーしたマチュー・ジャリベール

 後半に入ってもフランスの勢いは止まらなかった。49分にはフルバックでチーム最年長の31歳のブリス・デュランが走り込んでトライ、4トライ目でボーナスポイントを獲得する。53分にはラインアウトからの攻撃、アントワン・デュポンのトライが決まる。57分にはテディ・トマがトライをあげる。そしてこの後のコンバージョンがジャリベールにとってこの試合最後のゴールを狙う機会となったが、7本すべてを成功させた。
 この後、両チームともメンバー交代を重ね、スコア的には小休止となる。イタリアが一矢を報いたのは65分、イタリアはフランスからボールを奪取し、ウイングのラカ・スプランディーノがトライ、TMOの末にトライが認められた。
 この試合最後のトライは74分、トマがデュランからのパスを決めてゴールラインを駆け抜ける。トマは代表23試合目にして通算15本目のトライ、驚異的なトライゲッターである。このトライ後のコンバージョンは代わって入ったルイ・カルボネルが失敗し、結局最終スコアはフランスの50-10の勝利となる。フランスが6か国対抗で50点を記録したのは2009年のイタリア戦以来12年ぶりのことである。フランスは前半で目立った反則も後半は修正され、ボーナスポイントをあげて初戦を白星でスタートしたのである。(この項、終わり)

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