第2799回 接戦の続く6か国対抗(4) トゥイッケナムでの勝利を目指すフランス

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■首位のウェールズ、イタリアに大勝

 新型コロナウイルスがチーム内の多数の選手、スタッフに感染したため、フランスは第3節のスコットランド戦が延期となった。
 第3節を終えた時点での暫定的な順位は首位がウェールズ(3勝、勝ち点14)、2位が1試合少ないフランス(2勝、9)、3位がアイルランド(1勝2敗、7)4位がイングランド(1勝2敗、6)、5位はスコットランド(1勝1敗、5)、6位がイタリア(3敗、0)となっている。
 第4節は第3節の2週間後の3月13日と14日に行われた。最初に行われたのがイタリア-ウェールズ戦、ウェールズは6トライをあげて48-7と大勝する。このスコアは今季最多得点差となった。ウェールズはボーナスポイントも獲得して勝ち点を19に伸ばし、この時点で2位フランスとの勝ち点差は10となった。

■ワールドカップ後はイングランドに相性のいいフランス

 そのウェールズが大勝した後に行われたのがクランチ、イングランド-フランス戦である。2019年のワールドカップでは北半球勢で最高となる準優勝を飾った。その翌年の6か国対抗では第1節でフランスに敗れながらも、最終的には得失点差でフランスを上回り、優勝している。さらに昨秋のオータムネーションズカップでも優勝している。
 ただ、フランスから見れば、ベストメンバーで戦った昨年の6か国対抗では24-17と勝利している。そして昨秋のオータムネーションズカップでは決勝で対戦、イングランドが前年のワールドカップ準優勝メンバー、フランスは各クラブとの取り決めにより、主力が出場できず、6か国対抗でイングランドに勝利したメンバーは誰も出場しないという対戦となった。しかし、この一戦の結果は本連載第2774回と第2775回で紹介した通り、延長戦となり、最後にオーウェン・ファレルがペナルティゴールを決めてイングランドが優勝したものの、出場メンバーを考えれば、フランスにとっては勝ちに等しい内容であった。

■今年の6か国対抗で調子の出ないイングランド

 そして、迎えた今年の6か国対抗、フランスは連勝しているのに対し、イングランドは1勝2敗とはいえ、その1勝はイタリア戦であり、スコットランドには地元で歴史的敗戦、ウェールズにも敗れている。この時点でイタリアからしか勝利をあげていないのはイングランド以外にアイルランドしかない。ウェールズ戦は規律の乱れによる反則の多発が失点を招き、特に終盤はペナルティゴールを重ねられて突き放された。他方、キッカーのファレルも不振で失敗が目立つ。強いイングランドの面影はなく、フランスのファンはトゥイッケナムでの勝利を期待した。

■トゥイッケナムでなかなか勝てないフランス

 ただ、トゥイッケナムで、フランスの最後の勝利は2007年のワールドカップを控えたテストマッチである。さらに6か国対抗に限定すると2005年までさかのぼることになる。現在フランスはトゥイッケナムで8連敗中であり、最新の対戦は昨秋のオータムネーションズカップの決勝である。また前回の6か国対抗のトゥイッケナムでの対戦は2年前、この時フランスは8-44という歴史的な大敗を喫している。フランスにとってトゥイッケナムでイングランドを倒すことは困難なことなのである。
 イングランドに勝利するためにはブレイクスルーできるキープレーヤーが必要であろう。フランスは多くの若手選手が目白押しであるが、その中で最も注目を集めているのはスタンドオフのロマン・エンタマックであろう。ただし、エンタマックは負傷のため、今年の6か国対抗から離れていたが、ようやく試合に出場できる状態まで回復した。しかし、エンタマックの不在の間にスタンドオフを務めたのはエンタマックと同学年の22歳のマチュー・ジャリベールである。このイングランド戦もファビアン・ガルチエ監督は背番号10をジャリベールに託したのである。(続く)

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