第2800回 接戦の続く6か国対抗(5) イングランドに逆転負け、初黒星を喫す

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、第2800回の連載を迎えることができました。連載開始以来19年で2800回もの連載を続けることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■経験豊かなイングランドのメンバー

 3月13日、ロンドンのトゥイッケナム競技場、すでに2敗しているイングランドが2連勝のフランスを迎える。イングランドにとっては意地を見せ、イタリア以外からの初勝利をあげたいところ、そしてフランスにとっては優勝、さらにはグランドスラムへの道を突き進みたいところである。
 イングランドの先発メンバー、FW第一列はマニー・ブニポラ、ルーク・カウワンディッキー、カイル・シンクラー、ロックはマロ・イトジェとチャーリー・ユールズ、第三列はマーク・ウィルソン、トム・カーリー、ビリー・ブニポラ、ハーフ団はベン・ヤングスとジョージ・フォード、スリークォーターバックスはジョニー・メイ、オーウェン・ファレル、ヘンリー・スレイド、アンソニー・ワトソン、マックス・マリンズという先発メンバー、マリンズとユールズ以外は2019年ワールドカップで訪日しているメンバーであり、読者の皆様もよくご存じであろう。

■昨年の勝利を知っているフランスのメンバー

 一方のフランス、フォワード第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、モハメド・アウア、第二列はロマン・タオフィフェヌアとポール・ウィレムス、フランカーはディラン・クレタンとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはマチュー・ジャリベール、スリークォータバックは左からダミアン・プノー、ガエル・フィクー、ビリミ・バカタワ、テディ・トマ、フルバックはブリス・デュランという陣容であり、ワールドカップで訪日したメンバーはバイユ、オリボン、アルドリット、デュポン、プノー、フィクー、バカタワの7人だけ、そして昨年勝利した6か国対抗のイングランド戦と10人が同じメンバーである。

■フランスがリードして前半を終える

 フランスのキックオフで始まったこの試合、フランスはバカタワとトマが数的有利になった状況でディフェンスの裏にキック、これをインゴールでデュポンが押さえ、早くも2分に先制し、ジャリベールのコンバージョンも成功する。一方のイングランドも最初のトライを自らのサイドで奪われたワトソンが名誉挽回とばかりにフォードから受けたボールをそのままインゴールに持ち込んだ。ファレルのゴールも決まって7-7のタイスコアとなる。そしてファレルはフランスがラック内で犯した反則で得たペナルティゴールを決めて15分には10-7と逆転する。ここまで押され気味のフランスは19分にもラックで反則、ファレルのペナルティゴールで7-13とリードを広げられる。
 ところがここから試合はフランスのリズムとなる。フランスも29分にアドバンテージをもらってイングランドゴール前に迫り、ボールが止まった段階でTMO、フランスにペナルティキックが与えられ、フランスはまず3点を返す。そしてその直後の32分にプノーが逆転トライ、ゴールも決まって17-13とする。前半はフランスが試合を支配し、ハーフタイムを迎える。

■終盤に逆転トライを決めたイングランド

 後半は50分にジャリベールがペナルティゴールを決めて20-13と7点差にする。イングランドも追いすがり54分にファレルのキックが決まり、16-20と1トライ差以内に迫る。ここから試合は両チームともノースコアの状況が続く。
 74分、イングランドはゴールから45メートルの位置でペナルティを得る。ファレルの力量であれば1点差に迫ることも可能であったが、タッチを選択する。ここからイングランドのモールによる攻撃が始まる。そして77分にモールから出たボールをイトジェが持ち込んで逆転トライ、ファレルのゴールも決まり、23-20となった。
 フランスもその後ロングゲインで逆転のチャンスをつかむが、デュポンがノックオン、最後はワトソンがタッチに蹴り出して、フランスは初黒星を喫したのである。(続く)

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