第2803回 接戦の続く6か国対抗(8) 終盤に2トライ、ボーナスポイントを獲得して逆転勝ち

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■1人減っても互角なスクラムを組むフランス

 ウェールズのグランドスラムを阻止し、逆転優勝への望みを託すフランスであるが、前半は先行したものの、タイスコアで折り返し、後半に入ってペナルティゴールで勝ち越され、トライとゴールで突き放され残り30分の時点で10点のビハインドとなった。
 追うフランスは反撃に出てウェールズの22メートル陣内まで攻め込むが、ノックオン、しかし、その直前のアドバンテージで得たペナルティゴールをロマン・エンタマックが決めて54分には7点差に迫る。ところが59分、フランスのプロップのモハメド・アウアがモールの中で反則、10分間の退場となり、ウェールズにペナルティキックが与えられる。フランスのゴール前であったが、ここでもウェールズはトライを狙わず、確実に3点を追加、10点差として数的有利の戦いを続ける。フランスはナンバーエイトのグレゴリー・アルドリットを下げて7人で組んだスクラムも互角に組む。

■2度のトライは認められず、反則で退場

 そして64分にはモールからフランスのジュリアン・マルシャンがインゴールに持ち込む。グラウンディングしたかどうかをTMOの力で判定したが、トライは認められなかった。さらに68分、今度はフランスはバックスで攻め込む。ビリミ・バカタワ、ガエル・フィクー、アントワン・デュポンとつないでフルバックのブリス・デュランがインゴールに走り込んで今度こそトライかと思われたが、主審のルーク・ピアス氏はトライをコールせず、またTMOとなる。実はトライの前のプレーでフランスのポール・ウィレムスがウェールズのウィン・ジョーンズの目の中に指を入れるという反則があり、ウィレムスはレッドカード、そしてトライも認められないことになった。
 ここで思い出すのは2019年秋のワールドカップ準々決勝、フランスは後半に入ったところでセバスチャン・バーマイナがモールの中でひじ打ち、レッドカードで退場となり、その後逆転され、1点差で負けてしまったあの試合である。同じウェールズ相手に再び1人少ない人数で戦わなくなってしまった。

■主将シャルル・オリボンのトライで3点差に迫る

 しかし、今回のフランスは違った。数的不利になってもスクラムで互角だったように、1人少ないながらもよく耐えしのぎ、そしてウェールズに対して攻め続けた。攻められたウェールズは思わず反則を繰り返し、74分にはリーアム・ウィリアムスが意図的なノックオンということで、イエローカード、試合終了までピッチに戻ってくることができず、残り6分間は両チーム14人ずつの戦いとなった。
 残り5分、フランスはスクラムハーフのデュポンに代えてバティスト・サランを投入、スピードのある展開に望みをつなぐ。10点のリードを守りたいウェールズは反則を繰り返し、フランスが攻め込む。そして77分、主将のシャルル・オリボンがついにトライをあげる。ゴール前のスクラムからアルドリッドとオリボンが数的には不利であったが、突破した。エンタマックのコンバージョンキックも決まり、27-30とフランスは3点差に詰め寄った。

■ロスタイムに逆転トライ、接戦を制したフランス

 ロスタイムは3分、残り1分となった時点でセランが活躍する。セランからの展開でボールを受けたデュランが左中間にトライ、これでフランスが32-30と逆転する。エンタマックのゴールは外れたが、4トライをあげたフランスはボーナスポイントを獲得して勝利したのである。
 第5節はこれ以外にスコットランドがイタリアに52-10で勝利し、アイルランドがイングランドを32-18で下した。ここまで接戦続きで、イタリアの出場しない試合は9試合あったが、そのうち過半数の5試合は3点差以内の試合、残りの4試合のうち2試合は5点差であった。10点以上差がついた2試合はいずれもイングランドが敗れた試合であった。
 このように接戦の続いた今年の6か国対抗は残すところ1試合、延期となったフランス-スコットランド戦、フランスには優勝の可能性が残っているのである。(この項、終わり)

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