第2804回 スコットランドに惜敗、優勝ならず(1) 4トライ、21点差の勝利で優勝となるフランス
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■5位イングランド、6位イタリアが確定参戦
ここまで4戦全勝だったウェールズを無観客のスタッド・ド・フランスで終盤に逆転して勝利したフランス、4トライをあげてボーナスポイントも獲得した。
フランス代表の合宿中に新型コロナウイルスの感染者のクラスターが発生したため、第3節のスコットランド戦は3月26日に延期された。この両チーム以外は全日程を終了した。この時点での順位は首位がウェールズが4勝1敗(勝ち点20、得失点差+61)、2位がアイルランドで3勝2敗(15、+48)、3位がフランスで3勝1敗(15、+41)、4位がスコットランドで2勝2敗(11、+43)、5位のイングランドで2勝3敗(10、-9)、最下位がイタリアで5敗(0、-184)となっており、5位イングランドと最下位のイタリアは順位が確定している。
最下位のイタリアは指定席であるが、今季の成績は例年よりも振るわず、この6か国対抗参戦の意義が問われるところである。一方、イングランドはワールドカップでは北半球勢で最高の準優勝、昨年の6か国対抗で優勝、昨秋のオータムネーションズカップでも優勝と3大会連続で欧州勢では最良の成績を残してきたが、今回は低迷した。
■11年ぶりの優勝がかかるフランス参戦
さて、注目のフランス-スコットランド戦、フランスは2010年以来11年ぶりの優勝がかかる。フランスは4トライ以上のボーナスポイントを獲得して勝利すれば、勝ち点を5加えて、ウェールズと並ぶ。そして得失点差の争いとなり、フランスは21点以上差をつけて勝利すれば優勝となる。フランスがこの条件を満たすことができなければ、ウェールズが2019年以来2年ぶりの優勝となり、優勝回数で単独トップに立つ。
■フランスの圧倒的な勝ち越しから一転、過去5年間は互角の戦績参戦
フランスとスコットランドの最近の成績は互角と言ってよい。2000年代に入ってから2015年まで、両国は6か国対抗で16回、ワールドカップで1回、テストマッチで1回、合計18回対戦し、フランスは17勝1敗と大きく勝ち越してきた。ところが2016年の6か国対抗でスコットランドが10年ぶりに勝利してからは4勝4敗という成績である。直近の対戦は昨年のオータムネーションズカップ、マレーフィールドで行われた試合でフランスが22-15と競り勝っていることは本連載の第2772回で紹介した通りである。また、フランスはフランス国内ではスコットランドに12連勝中であり、今世紀に入ってからは全勝している。
しかし、今年のスコットランドは、第1節ではトゥイッケナムで38年ぶりの勝利をあげている。また、敗れた試合もウェールズに1点差、アイルランドにも3点差である。そしてアウエーの試合を苦とせず、アウエーでの直近5試合は4勝1敗と勝ち越している。迎え撃つフランスにとっては決して楽観視のできない相手である。
■ウェールズ戦と先発メンバーを5人入れ替えたフランス参戦
逆転優勝をかけたフランスは一部のメンバー変更を余儀なくされた。ウェールズ戦のラフプレーで退場となったポール・ウィレムスは出場停止となる。また、ここまで4試合、スタンドオフとして先発出場してきたマチュー・ジャリベールはウェールズ戦での負傷でメンバーから外れる。フランスは、フォワード第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、モハメド・アウア、第二列はベルナール・ルルー、スワン・レバジ、ランカーはアントニー・ジェロンチとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォータバックは左からガエル・フィクー、アルトゥール・バンサン、ビリミ・バカタワ、ダミアン・プノー、フルバックはブリス・デュランという先発メンバーである。
前節のウェールズ戦はその前のイングランド戦と同じ先発メンバーであったが、スコットランド戦は5人が入れ替わった。5人のうちの1人はスタンドオフのエンタマック、久しぶりの先発出場で栄冠をつかむことができるだろうか。(続く)