第2965回 グランドスラムを目指すフランス(1) 若い選手が集まった42人のメンバー
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■好調が続くフランス代表
来年に迫ったラグビーワールドカップ、本連載の第2922回から第2928回で紹介した通り、フランスは昨秋のテストマッチでアルゼンチン、ジョージア、ニュージーランドに3連勝している。特にニュージーランドに対しては12年ぶりの勝利、さらに史上最多得点差で勝利し、秋のシーズンを締めくくった。そして年が明けると1月から3月にかけて伝統の6か国対抗、ここで弾みをつけて来年のラグビーワールドカップでの悲願の初優勝につなげたいところである。
自国開催のラグビーワールドカップ、前回の2007年の自国開催では4位に終わっているが、それから16年、2回目の自国開催では期待が高まる。来年秋に開催されるラグビーワールドカップまでの国際試合の機会は限られている。今年の6か国対抗、夏の南半球遠征、秋のテストマッチ、そして来年の6か国対抗である。機会は限られており、今年の6か国対抗が新戦力の抜擢のラストチャンスともいえるであろう。
ベスト8に終わった2019年のラグビーワールドカップの後、2020年の6か国対抗は2位、2020年に行われたオータムネーションズカップは準優勝、2021年の6か国対抗も2位とシルバーメダルコレクターとなったフランスであるが、優勝チームとは紙一重の差であった。この躍進の理由が抜擢した新人が活躍し、メンバーに定着したことにある。
■新人の活躍が支えるフランス代表
フランスが期待を集めている理由は近年の新人の活躍にある。成果を残せなかったギ・ノベス監督時代の主力選手が去り、2019年のラグビーワールドカップで指揮を執った前任のジャック・ブルネル監督時代に発掘した選手が、経験値を積んでチームの主力に成長してきた。具体的にはスクラムハーフのアントワン・デュポン、スタンドオフのロマン・エンタマックである。そして現在のファビアン・ガルチエ監督も来年のラグビーワールドカップに向けて新戦力を起用している。その象徴がフルバックのメルビン・ジャミネである。
■42人中7人が代表未経験となった今年の6か国対抗メンバー
今年の6か国対抗のフランスの初戦は2月6日のイタリア戦であるが、フランスのガルチエ監督は1月18日にFW23人、BK19人、合計42人の選手のリストを発表した。この中で代表経験のないのは7人に上る。プロップのダニエル・ビビ・ビジウ(20歳)、ロックのフローラン・バンベルベルゲ(21歳)、フローリアン・ベルアーグ(24歳)、第三列のヨアン・タンガ(25歳)、スタンドオフのレオ・ベルデュー(23歳)、センターのジュール・ファーブル(22歳)、タニ・ビリ(21歳)というメンバーである。年齢を見ていただき、おわかりの通り、若いメンバーである。
■若くして代表入りした現在の主力選手
そして、現在のフランスチーム自身が若く、経験も少ないチームである。例えば、デュポンが今回の6か国対抗のチームの主将となっているが、25歳、キャップ数は35となっているが、代表にデビューしたのは2017年の6か国対抗、20歳の時である。デュポンとハーフ団を形成するエンタマックの代表デビューはその2年後、2019年の6か国対抗である。デュポンと同じ20歳でデビューしたエンタマックはその秋にはラグビーワールドカップで世界にその名を知られることになり、負傷もあったがキャップ数は23である。
ジャミネは昨年夏の豪州遠征で代表入り、22歳でのデビューとなり、キャップ数は6であるが、デビュー戦以来すべての試合に出場している。
このように若い選手がチームの主力となっており、42人の選手の中で30歳以上は4人だけ、プロップのウイニ・アトニオ、ロックのベルナール・ルルー、ロマン・タオフィフェヌア、フルバックのブリス・デュラン、ルルーが32歳、残り3人は31歳である。そしてキャップ数の最多は66のセンターのガエル・フィクー、50以上のキャップ数はフィクーだけである。キャップ数35のデュポンはチームで5番目に代表キャリアの多い選手である。
若手選手が着実に成果を残してきたフランス、ラグビーワールドカップへの期待が高まる中で6か国対抗を迎えたのである。(続く)