第2972回 グランドスラムを目指すフランス(6) 初めて10年以上優勝から遠ざかるフランス、近年低迷するスコットランド
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■2010年を最後に優勝していないフランス
今年の6か国対抗の優勝を行方を占う天王山と目されていたアイルランド戦、フランスはトライ数ではアイルランドに及ばなかったものの、ペナルティゴールで着実に加点し、30-24と勝利している。第2節を終了した段階でフランスは唯一の全勝チームとなった。
フランスが目指すのは優勝、さらには全勝優勝であるグランドスラムである。北半球の強豪の位置にあるフランスであるが、6か国対抗での最後の優勝は全勝した2010年である。2000年代には最多の4回の優勝(2002年、2004年、2006年、2007年)を誇ったフランスであるが、2010年に全勝優勝してからは、11年間栄冠から遠ざかり、以後イングランドとウェールズがそれぞれ4回、アイルランドが3回の優勝を果たしている。フランスは前身の5か国対抗に1910年に参戦、1954年にイングランド、ウェールズと並んで3勝1敗で初優勝、1959年に単独での初優勝を果たしてからはコンスタントに優勝争いに顔を出しており、それ以来10年以上優勝から遠ざかっているのは今回が初めてである。
ファンの優勝に対する期待は大きく、満員のスタッド・ド・フランスでのアイルランド戦勝利は、その期待に十分こたえるものであった。
■6か国対抗となってからは優勝がないスコットランドと近年は互角のフランス
そのフランスの第3戦の相手はスコットランドである。スコットランドは6か国対抗になってからは精彩を欠き、最後の優勝は5か国対抗として最後に行われた1999年である。イタリアが加わって6か国対抗となってからの22シーズンで2位になったこともなく、3位がわずか4回、4位か5位が指定席で、最下位になったことも3回ある。
そのスコットランドに対してフランスは2000年以降は圧倒した成績を残していたが、この数年は拮抗した成績となっている。2016年の6か国対抗で10年ぶりに敗れると、それ以降は6か国対抗、テストマッチ、オータムネーションズカップで対戦して4勝4敗と拮抗した成績となっている。
■悔しい敗戦となったこの2年の6か国対抗でのスコットランド戦
特にこの2年の6か国対抗では連敗しているが、一昨年はアウエーのマレーフィールドで17-28と敗れ、全勝優勝を逃しただけではなく、4勝1敗で並んだイングランドに得失点差で及ばず、2位にとどまった。昨年の6か国対抗では今年と同様にフランスはイタリア、アイルランドに連勝スタートしたが、第3節のホームのスタッド・ド・フランスでの試合で23-27と敗れ、2位に終わっている。過去2年はスコットランド戦に勝利していれば優勝(昨年の場合は得失点差次第)していたわけで、近年のフランスにとって鬼門である。
そのスコットランドは今年の6か国対抗の開幕戦ではイングランドと対戦、2年連続の勝利をあげている。続く第2節ではアウエーでウェールズと対戦、両チーム1トライ、4ペナルティゴールずつの17-17で迎えた終盤にウェールズのダン・ビガーがドロップゴールを成功させて、20-17と勝利、スコットランドにも土がついてしまったが、イングランド、ウェールズ相手の試合展開、さらには近年の相性の悪さもあり、全勝で迎えたスコットランド戦の恐ろしさはフランスのファン全員が心の片隅に持っており、さらにはアウエーのマレーフィールドでの試合である。
■赤いヘッドキャップのガバン・ビリエールが負傷で欠場するフランス
連勝スタートしたフランスにとって不安材料は、イタリア戦でマンオブザマッチに選ばれるなどこれまでの2試合で活躍してきたウイングのガバン・ビリエールが負傷で欠場することである。赤いヘッドキャップがトレードマークのビリエールはアイルランド戦では同じウイングで白いヘッドキャップを着用したマック・ハンセンとの対決が注目され、この試合を制したが、顔面骨折という重傷とあっては、仕方がないであろう。ビリエールの穴をどのようにファビアン・ガルチエ監督が埋めるかが注目されたが、アイルランド戦でセンターを務めたヨラム・モエファナをウイングに回し、センターにはイタリア戦で先発したジョナタン・ダンティを起用したのである。(続く)