第2976回 グランドスラムに王手(1) 調子の出ない昨季王者のウェールズ
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■昨年は王者ウェールズのグランドスラムを阻止したフランス
2月26日に行われたスコットランド戦で6トライをあげて勝利したフランスは、開幕3連勝となった。昨秋ニュージーランドを破ったアイルランド戦がグランドスラムへの第一関門であるならば、過去2年間の6か国対抗で敗れていたスコットランド戦は第二関門と言える。フランスにとって3つ目の関門が3月11日に行われるウェールズ戦である。 ウェールズは昨年のチャンピオンチームである。ただし、フランスは昨年、ウェールズに32-30と競り勝っている。ウェールズはフランス戦以外はすべて勝利しており、グランドスラムを阻止された相手がフランスである。
■開幕戦のアイルランド戦は大敗、スコットランドには辛勝
2年連続優勝を目指すウェールズであるが、今年の成績は不本意なものである。開幕戦ではアイルランドと対戦し、ダブリンの試合とは言え、7-29と大敗、唯一の得点も試合が決まった75分にあげたトライであり、アイルランドにボーナスポイント(4トライ)を与えての敗戦となった。
続く第2節はホームのカーディフにスコットランドを迎えての試合、開幕戦でイングランドを破ったスコットランドが先制のトライをあげた。その後は両チームともペナルティゴールで3点を積み上げていく展開となり、ウェールズは32分にトーマス・フランシスのトライで14-14の同点に追いつく。後半に入ってペナルティゴールでスコットランドが勝ち越すが、ウェールズも追いつく。スコットランドのフィン・ラッセルがシンビンで退場している間にウェールズはダン・ビガーがドロップゴールを決めて20-17とリードする。試合終盤にはスコットランドが波状攻撃を仕掛けるが、ウェールズは粘り強い守備でスコットランドの得点を許さず、辛勝する。欧州を代表するスーパーブーツのビガーの存在の大きさを認識させる試合となった。
■トライ数で上回ったイングランド戦も敗戦
これで調子を戻すかと思われたウェールズであったが、続くイングランド戦では敗戦してしまう。前半にイングランドの若き司令塔マーカス・スミスにペナルティゴールを次々と決められ、0-12というスコアでハーフタイムを迎える。後半に入ったところでイングランドは昨夏に代表入りしたばかりのナンバーエイトのアレックス・ドンブラントがトライを決め、得点差は17となる。一方的な試合になったが、ここからようやくウェールズは反撃する。54分にジョシュ・アダムズ、61分にニック・トンプキンスとスリークォーターバックスがトライをあげ、コンバートも1本決まり、12-17と追い上げる。しかし、イングランドはスミスが2本ペナルティゴールを決めて、得点差を11にまで広げる。ウェールズは試合終了間際に3本目のトライをあげ、コンバートも成功して19-23とボーナスポイント(7点差以下の敗戦)を獲得したが、試合内容は1本しかトライをあげられなかったイングランドが圧倒しており、昨年王者の面影を感じさせるものではなかった。
■主将アランウィン・ジョーンズが負傷で離脱、5位に低迷
結局、第3節を終えた時点でフランスは3勝、ボーナスポイントも含めて勝ち点14で首位、ウェールズは1勝2敗、ボーナスポイントも含めて勝ち点は5にとどまっており、5位に低迷している。
そのウェールズの低迷の理由は負傷者の続出である。主将のアランウィン・ジョーンズは昨夏の日本戦、昨秋のニュージーランド戦などで負傷しており、今年のシックスネーションズには出場していない。またトライゲッターのジョージ・ノースも負傷でメンバーから外れている。これらに代わる選手が出てこず、ビガーやジョナサン・デービスというキャップ数が100前後のベテラン選手がチームを支えている。
一方のフランスは新型コロナウイルスで陽性反応が出たダミアン・プノー、ロマン・タオフィフェヌアがメンバーから外れ、カーディフでの試合に臨むのである。(続く)