第3023回 ラロッシェル、欧州チャンピオンに(2) 2年連続で決勝に進出したラロッシェル
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ラロッシェルを支える主力メンバー
ラロッシェルは大西洋に臨み、南西部の都市であるが、ラグビーがそれほど盛んな地域ではない。しかし、新聞はシュッド・ウエスト、スポーツ欄の多くのスペースはラグビー関係で埋め尽くされる。クラブ創設120年以上の歴史の中で、ついに覚醒の時を迎えた。昨季はフランス国内でも欧州でも決勝に残り、準優勝に終わったが、今季は初のタイトルを目指す。
ラロッシェルの主力メンバーとしてはプロップのウイニ・アトニオ、ナンバーエイトのグレゴリー・アルドリッチ、スタンドオフのジュール・プリソン、フルバックの・ブリス・デュラン、そして今季からセンターにジョナタン・ダンティが加わった。
■今年もフランス勢が席巻する欧州チャンピオンズカップ
フランスリーグはレギュラーシーズンが6月初めまで行われ、それからプレーオフとなる。欧州チャンピオンズカップの方が日程の消化は早く、決勝はフランスのTOP14のレギュラーシーズンの最終節の前に行われる。欧州チャンピオンズカップはイングランドとフランスから8チームずつ、アイルランドから4チーム、ウェールズから3チーム、スコットランドから1チームの24チームが参加して争われた。
グループリーグは6か国大会の期間の前に行われ、ラロッシェルはスコットランドのグラスゴー・ウォーリアーズ、イングランドのバースと対戦した。バースとのアウエーゲームは中止となったものの、それ以外の3試合は全勝した。
決勝トーナメントは6か国対抗が終了してから始まり、16チームで争われた。フランス勢は8チームが出場したが、カストル以外の7チームが決勝トーナメントに勝ち進んだ。フランス以外に好調だったのはアイルランドで4チームともグループリーグを突破した。イングランド勢も8チーム中3チームが敗退し、ウェールズ勢は3チームともグループリーグで敗退、1チームのみ出場したスコットランド勢も姿を消した。
■1回戦ではボルドー・ベグルに連勝、準々決勝でモンペリエを下す
1回戦のみホームアンドアウエー形式で行われ、ラロッシェルはボルドー・ベグルと対戦、ボルドーのシャバン・デルマスでの第1戦は31-13と先勝、ラロッシェルでの第2戦も31-23と連勝した。
準々決勝に残ったのはフランス勢ではラロッシェル、ラシン92、モンペリエ、トゥールーズと半数の4チーム、それ以外にイングランドからセール、レスター、アイルランドからムンスターとレンスターという顔ぶれである。準々決勝からは1回戦制となり、ラロッシェルはモンペリエをホームに迎える。準決勝以降は中立地での試合となるため、準々決勝がラロッシェルでの最後の欧州チャンピオンズカップとなる。5月7日、ラロッシェルの本拠地、マルセル・デフランドル競技場は満員の1万6000人の観衆が集まる。チームカラーの黄色と黒のタイガーカラーに染まったスタジアムで、ラロッシェルはモンペリエを31-19と下した。
■準決勝でラシン92を下して、レンスターとの決勝へ
ベスト4にはラロッシェル、ラシン92、トゥールーズのフランス勢と唯一アイルランドからレンスターが入った。ラシン92以外の3チームは昨年も準決勝に進出している。昨年はラシン92の代わりにボルドー・ベグルがベスト4入り、フランス勢は昨年に続きベスト4のうち3チームを占めた。準決勝以降は大規模なスタジアムを使用する。レンスター-トゥールーズ戦は5月14日にアイルランドのダブリン、アビバ競技場、ラロッシェル-ラシン92戦は5月15日にランスのフェリックス・ボラール競技場で行われる。
レンスター-トゥールーズ戦はレンスターはジャミソン・ギブソン・パークとジョナサン・セクストン、トゥールーズのアントワン・デュランとロマン・エンタマックという両国の代表のハーフ団の対決となったが、セクストンのキックがさえて得点を重ね、レンスターが40-17と大勝し、トゥールーズの連覇をストップした。
4試合連続でフランス勢と対戦したラロッシェルはラシン92にペナルティゴール、トライ(ゴール成功)で先制され苦しい前半となった。前半の終盤にラロッシェルも追い上げ8-10で折り返す。後半もぺナルディゴールで点差を広げられたが、53分にモールの中でラシン2が反則、ペナルティトライがラロッシェルに与えられ、逆転する。ラシン92はペナルティゴールをしばしば狙うが成功せず、試合終了間際にラロッシェルはトライをあげ、20-13で勝利し、2年連続の決勝進出を決めたのである。(続く)