第3037回 ラグビーフランス代表、4回目の訪日(7) 苦戦しながら勝利、テストマッチ10連勝
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■ミスの目立つ両チーム、負の連鎖に陥る
これまで、フランスは日本にはテストマッチ認定試合以外を含めても無敗であるが、失点が多い。12分に山中亮平があげたトライも不用意なキックからカウンターアタックを受けた結果である。
第1テストマッチとメンバーを4人入れ替えた日本であるが、大型ロック陣が脅威になるかと思われたが、高さのみではラインアウトでは優位に立つことはできず、ラインアウトでは日本のミスが目立つ。
一方、フランスにはハンドリングエラーが目立ち、試合が中断することが多く、決して高いレベルの試合とは言えなかった。ハンドリングエラーの後のスクラムが多い試合で、それがますます両チームの選手、特にフォワード陣の消耗を招き、新たなミスにつながるという負の連鎖に両チームとも陥った。
■前半終了間際に山中亮平がこの日2本目のトライで逆転
その負の連鎖を断ち切るのはバックスの鮮やかなオープン攻撃であろう。しかし、マチュー・ジャリベールはスクラムからそのままキックに展開することが多く、トライをあげる形にはなかなかならない。
30分にはフランスで唯一入替メンバーであるフルバックのマックス・スプリングがハイパントをあげて、それをシャルル・オリボンがキャッチし、よい展開になるかと思われたがスクラムハーフのマキシム・ルクがミスをしてチャンスをつぶす。
攻撃面ではさえないフランスであったが、ディフェンス面では運動量と規律に優る日本の攻撃をよく止めていた。
しかし、前半終了間際に、またフランスは集中心を欠いたプレーをしてしまう。ハーフウェイライン付近のラックから日本が左に展開、フランスの守備陣のタックルが甘く、簡単に前進を許してしまう。タッチライン沿いをリーチマイケルが突進、内に返してフォローしたのが山中であった。山中は簡単にゴールポスト付近まで回り込み、李承信のゴールも簡単に決まって15-7と1トライ1ゴール以上の差を付けてハーフタイムを迎えた。このところのフランスは前半で得点を重ねて逃げ切るパターンが多かったため、この日本遠征では第1テストマッチはタイスコア、第2テストマッチはビハインドで折り返すというのは予想外の展開であろう。
■先手を打った選手交代が功を奏したフランス
選手の消耗の目立つフランスは日本よりも先に選手を交代させていく。これが功を奏したか、3人のフレッシュな選手の入ったフランスは反則を奪い、まず44分にペナルティゴールで3点を返し、射程距離に入る。50分にはキッカーを務めるルクをベンチに下げ、バティスト・クイユーを投入する。後半は前半にもましてキッキングゲームとなる。日本にとって誤算はインパクトプレーヤーとなるべき堀江翔太の投入であった。フッカーはスクラムなどの密集戦でも重要であるがラインアウトではボールを投げ入れる。主将の坂手淳史に代わって入った堀江はマイボールラインアウトの多くなった展開でノットストレートの反則を繰り返す。
フランスはジャリベールがキッカーになり、ペナルティゴールを決めて、13-15と追い上げる。そして64分にはウイングでトライゲッターのダミアン・プノーに代えて本来はフランカーのセクー・マカルーを投入し、ギャップを作ってトライを狙う。しかし、ハンドリングに問題のあるマカルーはトライをあげるに至らない。
■逆転トライをあげたバティスト・クイユー、最後のトライが認められなかった日本
71分にフランスで逆転トライをあげたのはスクラムハーフのクイユーであった。不在のアントワン・デュポンを連想させる、スクラムからの素早いサイドアタック、スピードに追い付けない日本の守備陣を振り切り、そのままインゴールに飛び込み、ジャリベールのゴールも決まって20-15と逆転する。
守りに入ったフランスに対し、日本は攻め込み、74分には密集からテビタ・タタフがトライかと思われたが、VARでノックオンとの判定でノートライ、フランスが20-15と苦戦しながら勝利、テストマッチ10連勝という新記録を立てたのである。(続く)