第3168回 フランス、イングランドに記録的な圧勝 (2) 試合開始直後に簡単に先制トライを奪ったフランス
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■第3節で勝利して2勝1敗同士のイングランドとフランス
前回の本連載で紹介した通り、フランスは今世紀に入ってからは、トゥイッケナムでは大きく負け越しており、長らく勝利から見放されている。しかし、昨年はグランドスラムを達成し、その後のテストマッチでも連勝を伸ばしたフランス、昨年は負け越して監督を交代したイングランド、チームの勢いは違い、第1節でフランスは苦戦しながらもイタリアに勝利、イングランドはスコットランドに3連敗で黒星スタートと、明暗が分かれた。しかし、第2節ではフランスはアイルランドとの頂上決戦に敗れ、イングランドはイタリアにフランス以上の点差をつけて勝利、そして、第3節でイングランドはウェールズに、フランスはスコットランドに勝利し、両チームとも2勝1敗で第4節に臨む。
■右プロップの2人が出場停止となったフランス
フランスの先発メンバーであるが、FW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ドリアン・アルドゲリ、ロック陣はチボー・フラマンとポール・ウィレムス、フランカーはフランソワ・クロとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、ハーフ団は主将のアントワン・デュポンとロマン・エンタマック、スリークォーターバックスは左からエタン・デュモルティエ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスというメンバーである。
これまでの試合から入れ替えたのはスコットランド戦で負傷した左フランカーのアントニー・ジェロンチに代えてクロ、センターをヨラム・モエファナから負傷から復帰したダンティを起用した。また右プロップはウイニ・アトニオ、モハメド・アウアの2人がいずれもレッドカードで出場停止となったことからアルドゲリを起用せざるを得なかった。
ただし、アルドゲリはトゥールーズの選手であり、FW第一列の3人はトゥールーズの所属選手となっただけではなく、これらの先発メンバーの入れ替えの結果、過半数の8人がトゥールーズの選手となった。イングランドの先発メンバーの中でもフランカーのジャック・ウィリスがトゥールーズに所属している。まさにラグビーの都トゥールーズである。
■先発から外れ、リザーブとなったオーウェン・ファレル
イングランドのメンバーで注目すべきは主将のオーウェン・ファレルが先発メンバーから外れ、控えメンバーに入ったことである。ファレルはイングランド代表において、10年以上先発としてしか出場したことがなく、初めて控えメンバーとしてキックオフを迎えた。ベンチのファレルに代わってスタンドオフを務めるのはマーカス・スミス、そしてインサイドセンターはオリー・ローレンスである。また、フランスのウィークポイントともみなされた右プロップのアルドゲリが相対するイングランドの左プロップはファレルに代わって主将となったエリス・ゲンジである。
■オフロードパスで崩し、トマ・ラモスが先制トライ
8万人以上の観衆の集まったラグビーの聖地、純白のジャージーのイングランド、スミスのキックオフで試合は始まった。上から下まで青一色のジャージーのフランスがボールをキャッチし、エンタマックが蹴り返す。これをイングランドのフルバックのフレディ・スチュワートが蹴り返す。フランスは自陣からパスをつないで前進し、エンタマックからパスを受けたオリボンがフラマンへ、フラマンがデュモルティエとそれぞれオフロードパスでつなぎ、イングランドの守備陣はついていけない。フランスはボールを持ったデュモルティエにラモスがフォロー、それに対してイングランドは1人で守らざるを得ず、最後はラモスが簡単にトライをあげる。キックオフから2分もたたないうちにフランスは先制トライをあげたのである。そしてラモスはコンバージョンも成功させる。今大会の得点王争いで首位を走るラモスは開始3分で7点を追加したのである。そしてこれはフランスの大量得点へのファンファーレとなったのである。(続く)