第3169回 フランス、イングランドに記録的な圧勝(3) 7トライの猛攻、最終戦に望みをつないだフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■序盤から得点を重ねたフランス

 昨年来、調子が悪いとはいえ、トゥイッケナムではフランスに対して圧倒的に優位な成績を残しているイングランド相手に、フランスは開始早々、トマ・ラモスが先制トライを奪った。今季の6か国対抗は第3節を終えた時点で3連勝のアイルランドが勝ち点14で頭一つ抜け出し、2勝1敗のスコットランド、イングランド、フランスが勝ち点10で追う。首位のアイルランドはイングランド-フランス戦の翌日にスコットランド戦を控えている。すなわち、イングランド-フランス戦はボーナスポイント付きで勝利して勝ち点5を獲得すれば、アイルランドと勝ち点で並ぶことができる。アイルランドとスコットランドに圧力をかけることになる。勝ち点15争いで先手を取ったのがフランスであった。
 フランスは10分にラモスがペナルティゴールを決めて、10-0とリードを広げる。雨が強くなってくる中、試合はキック合戦となる。その中で効果的だったのが25分のフランスの自陣10メートルライン付近のラックからのアントワン・デュポンの左足のキックである。これがフィフティー・トゥエンティトゥーとなって、フランスはイングランド陣22メートルラインの中でラインアウトのチャンスをつかむ。ラインアウトから出たボールをこの日センターに入ったジョナタン・ダンティが突進、止まったところをアントワン・デュポンがチボー・フラマンに託し、フラマンがイングランドの選手のタックルをはねのけ、トライ、ゴールも決まって17-0と差がつく。

■前半だけで3トライをあげたフランス

 ようやくイングランドが得点をあげたのは34分、マーカス・スミスが40メートルのペナルティゴールを成功させる。フランスも36分にペナルティゴールを決めて再び17点差とする。フランスがイングランド陣の2メートルライン上でマイボールスクラムとなった時に時計の針は40分を示す。そのまま試合を切ることもできたが、フランスはスクラムで押し込み、ナンバーエイトのグレゴリー・アルドリットが持ち込み、フランカーのシャルル・オリボンにつなぎ、オリボンがトライ、ゴールも決まって、27-3というスコアでハーフタイムを迎えた。

■オーウェン・ファレル効果も1トライのみ

 イングランドは昨年2月のイタリア戦と11月の日本戦しかトゥイッケナムで勝利しておらず、地元のファンに不甲斐ない戦いをこれ以上見せられない。後半に入ってインサイドセンターのヘンリー・スレイドに代えて、オーウェン・ファレルを投入、これで息を吹き返したイングランドは連続攻撃を見せ、47分にはフレディ・スチュワートがイングランド初のトライをあげる。

■後半も4トライをあげ、勝ち点5を獲得したフランス

 試合の流れがイングランドに行くかと思われたが、逆にフランスはこの失点から引き締まった試合運びとなり、キックとラックの連続で試合を支配する。57分にはデュポンがイングランドのゴール前にショートパント、これをロマン・エンタマックがキャッチではなく、タップしたところに走り込んだのがフラマン、フラマンがこの日2本目のトライを決め、4トライをあげたフランスはボーナスポイントを獲得する。
 59分にはラモスがトゥイッケナムを自分の庭のように走り抜け、最後はイングランド守備陣の裏にキック、マーカス・スミスがゴール前で確保したが、フランスの選手が襲い掛かり、結局、フランスがラックを押し込みながらターンオーバー、オリボンがトライを記録する。ラモスのゴールも決まり、41-10と差は広がる。
 72分には自陣でエンタマックのアクロバティックなパスを受けたガエル・フィクーが右サイドにキックパス、この試合ではまだトライのなかったダミアン・プノーがキャッチしてそのままゴールラインを駆け抜けた。75分にはフランスの連続パスがイングランドを圧倒する。パスを最後に受けたのはプノー、トライゲッターが走り込み、チームで7本目のトライを決めた。
 フランスが53-10と大勝、18年ぶりの6か国対抗でのトゥイッケナム出の勝利となった。これまでのフランスのイングランド戦の最多得点差勝利の25を大きく上回る43点差の勝利となった。また43点差はイングランドにとって史上3番目となる得点差での敗戦となった。(この項、終わり)

このページのTOPへ