第3170回 最終戦勝利も優勝には届かず(1) 不振のウェールズ相手に大勝したいフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スコットランドのトリプルクラウンを阻止したアイルランドが4戦全勝

 3月11日に行われた6か国対抗の第4節でフランスはイングランドとトゥイッケナムで対戦し、7トライの猛攻で53-10と歴史的な大勝を収めた。ボーナスポイントも獲得し、勝ち点5を追加して、勝ち点15、得失点差+46となった。アイルランドと勝ち点で並び、得失点差で2位(アイルランドは+51)となった。 フランスがイングランドに大勝した翌日、アイルランドはマレーフィールドでスコットランドと対戦した。この試合でスコットランドが勝利し、アイルランドがボーナスポイントを獲得できなければ、フランスが首位になる。ここまで3連勝のアイルランドとフランスに敗れただけで勝利すればトリプルクラウン(英国4協会の相手に全勝)となるスコットランドの試合は接戦となった。立ち上がりはアイルランドが攻め込み、5分にラインアウトのクイックスローから先制トライ、と思われたプレーはタッチに出たボールと違うボールを投げ込んだため、ラインアウトが認められず、ノートライの判定となった。アイルランドがペナルティゴールで先制したものの、スコットランドがトライで逆転、アイルランドもトライをあげて再逆転、前半は8-7とアイルランドが僅差でリードして折り返した。後半にアイルランドは地力を見せて、2トライをあげ、最終スコアは22-7、3トライのアイルランドは初めてボーナスポイントを逃したが、4連勝で勝ち点19、得失点差+66で最終戦を迎えることとなった。

■アイルランドの試合の前に4トライ以上あげて勝利したいフランス

 最終節を迎える時点で優勝は1位のアイルランドと2位のフランスに絞られた。アイルランドもフランスも最終節はホームでの試合、最終節は3月18日に3試合が行われ、まず13時30分にスコットランド-イタリア戦、15時45分にフランス-ウェールズ戦、18時にアイルランド-イングランド戦が行われる。
 フランスはウェールズ相手にボーナスポイント付きで勝利すれば、試合前のアイルランドを勝ち点で上回る。日本の皆様にとってフランス-ウェールズ戦は4年前に大分で行われたラグビーワールドカップ準々決勝でウェールズが勝利したことを鮮明に覚えていらっしゃるかと思われるが、その後、両国は春の6か国対抗で対戦し、フランスが3連勝している。今年もウェールズはイタリアに勝利しただけで、1勝3敗と低空飛行が続く。

■右プロップが戻ってきたフランス

 フランスのFW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、ロック陣はチボー・フラマンとロマン・タオフィフェヌア、フランカーはフランソワ・クロとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、ハーフ団は主将のアントワン・デュポンとロマン・エンタマック、スリークォーターバックスは左からエタン・デュモルティエ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスというのがフランスのメンバーである。
 前節では右のプロップのアトニオとモハメド・アウアの2人ともがレッドカードによる出場停止であったが、ようやくアトニオが戻ってきた。アトニオはこれがうれしい50キャップ目の試合となる。そして体重145キロのアトニオの加入でスクラムを組む8人の総体重であるパックウェイトはウェールズの918キロに対してフランスは953キロと優位に立つ。
 フランスはロックに負傷者が重なり、昨秋の南アフリカ戦で代表にデビューし、日本戦にも出場したバスチャン・シャルローが入り、出場すれば6か国対抗初出場となる。

■ベテラン選手に託すウェールズ

 対するウェールズであるが、前節のイタリア戦でようやく初勝利をあげ、その試合でプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたベテラン36歳のリース・ウェブがこの試合もスクラムハーフを務める。不振からの脱却をベテランに託さなくてはならないところにウェールズのウォーレン・ガットランド監督の苦悩の様子が伝わってくる。ウェールズのアラン・ウィン・ジョーンズはこの試合が158キャップ、ダン・ビガーも107キャップ、対するフランスで最多キャップはフィクーの78である。
 8万観衆の中でウェールズのビガーのキックで試合が始まったのである。(続く)

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