第3219回 夏のテストマッチに向けた42人を発表
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■モナコで合宿入りしたラグビーフランス代表
前回の本連載では極度の乾燥した気候が続くことがスタジアムの芝に影響を与えていることを紹介した。特に南仏ではその影響は深刻であり、モナコのルイ二世競技場で5月の段階で芝がめくれ上がった。 そのモナコのルイ二世競技場で7月2日から始まったのがラグビーのフランス代表の合宿である。今年は9月からワールドカップが開催されるため、ウインドウマンスである7月には代表の試合は行われず、8月に4試合を行い、9月8日にワールドカップ初戦を迎える。
■6月22日に発表された42人のメンバー
この夏のテストマッチのために6月22日に42人の選手が発表された。まずFWであるがプロップは左の候補としてシリーユ・バイユ、ジャン・バティスト・グロ、レダ・ワルディ、右の候補としてウイニ・アトニオ、ドリアン・アルデゲリ、トマ・ラクレヤ、デンバ・バンバ、フッカーはピエール・ブルガリ、ジュリアン・マルシャン、ペアト・モーバカ、ロックはバスチャン・シャルロー、チボー・フラマン、ロマン・タオフィフェヌア、ポール・ウィレムス、カメロン・ボキ、フローリアン・ベルアーグ、バックローはグレゴリー・アルドリット、ポール・ブーダン、フランソワ・クロ、セクー・マカルー、シャルル・オリボン、ヨアン・タンガ、ディラン・クレタン、ここまでがFWである。
ハーフ団であるが、スクラムハーフに関してはアントワン・デュポン、マキシム・ルクー、バティスト・クイユー、バティスト・サラン、スタンドオフはロマン・エンタマック、マチュー・ジャリベール、アントワン・ハストワである。
センターはジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ヨラム・モエファナ、エミリアン・ガイユトン、アルトゥール・バンサン、ウイングはルイ・ビール・ビアレイ、エタン・デュモルティエ、ウイングはルイ・ビール・ビアレイ、マティス・ルベル、ダミアン・プノー、ガバン・ビリエール、フルバックはブリス・デュラン、メルバン・ジャミネ、トマ・ラモスというメンバーである。
■代表デビューとなる6か国対抗でトライを量産したエタン・デュモルティエ
代表メンバーの発表は今年1月の6か国対抗前以来のことであるが、この時は4人の代表未経験者がメンバーに入った。その中でレギュラー級になったのはトライを量産したデュモルティエだけであり、今回もメンバー入りしている。それ以外に今回もメンバーに入ったのは同じウイングのビール・ビアレイだけである。
■TOP14のトライ王となったエミリアン・ガイユトン
今回も代表未経験者で合宿に呼ばれたのは4人である。ビール・ビアレイに加え、ラクレヤ、ブーデン、ガイユトンである。いずれも代表合宿に呼ばれたことがあるメンバーであるが、この中で注目はガイユトンである。2003年生まれの19歳(誕生日は7月13日)、ロンドン近郊でフランス人の父親と英国人の母親の間に生まれ、3歳の時にラグビーの盛んフランス南西部に引っ越してきた。18歳でプロ選手となり2部のアジャンと契約する。そしてアジャンでプロとしてデビューして2月後には1部のポーに移籍する。そしてTOP14初年となる2022-23シーズンでは24試合に出場し14トライを挙げ、リーグのトライ王となったのである。すでにガイユトンは20歳以下の代表では活躍していたが、20歳以下の代表に入ったのは17歳の時という天才少年ぶりを発揮し、いよいよプロとなってフル代表にも選出されたのである。年初のデュモルティエのようにデビューしてすぐにトライを重ねることをファンは期待している。
また、負傷から戻ってきたのはバンサンである。2021年の夏の豪州遠征を最後に2度の膝の負傷によって代表チームから離れていたが、6月初旬に行われたフランス代表のミニ合宿で負傷の影響は消えたことをフランス代表のスタッフにアピールして代表復帰となった。バンサンとガイユトンの2人がセンターを組む可能性もあり、楽しみである。
モナコでの合宿は14日まで、7月24日から8月3日までは本来の合宿所であるパリ近郊のマルクーシスで鍛え、8月5日のエジンバラでのスコットランド戦でワールドカップに向けたテストマッチ4試合が始まるのである。(この項、終わり)