第3223回 ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023(1) 2連覇中のフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6月から7月のラグビー空白期間に行われる国際大会

 いよいよ、9月にはラグビーワールドカップがフランスで開催される。第3219回の本連載ではワールドカップを控えた8月に行われる4試合に向けてフランス代表がモナコで合宿を開始したことを紹介した。例年は6月から7月にかけて代表の試合が行われるが、今年は8月までお預けである。
 しかし、そのようなラグビーファンを満足させて余りある大会が行われた。それが今回から紹介するワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023である。この大会には日本も出場しており、よくご存じのことと思われるので、フランス代表の活躍を中心に紹介していきたい。
 ワールドラグビーU20チャンピオンシップは20歳以上の代表チームによる世界大会であり、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年から2023年大会まで開催されず、4年ぶりの開催となる。かつてはIRBジュニア選手権と呼ばれ、第2回大会となる2009年には日本で開催し、有田隆平、立川理道などその後日本を代表するプレーヤーだけではなく、その後日本代表となったゲラード・ファンデンヒーファーは南アフリカ代表として出場している。日本開催の当時は16か国が参加していたが、現在は12か国のみの参加となっている。そして下部大会としてワールドラグビーU20トロフィーがあり、こちらは8か国が参加している。ワールドラグビーU20チャンピオンシップには順位決定戦があり、その最下位チームがワールドラグビーU20トロフィーの優勝チームと自動入れ替えとなる。

■コロナで中断前の2018年大会と2019年大会で連覇したフランス

 フランスはコロナで中断する前の2018年大会と2019年大会で連覇している。2018年大会の優勝メンバーにはデンバ・バンバ、ジャン・バティスト・グロ、トマ・ラボー、カメロン・ボキ、ロマン・エンタマック、ピエール・ルイ・バラシ、ルイ・カルボネルと現在のフランス代表の主力となっているメンバーが名を連ねている。2019年大会の優勝メンバーには連覇の原動力となったグロ、カルボネル以外に、主将を務めたアルトゥール・バンサンやエタン・デュモルティエ、マティス・ルベルは今回の合宿メンバーに入っている。

■フル代表の合宿に呼ばれたエミリアン・ガイユトン、ルイ・ビール・ビアレイ

 6か国対抗などはフル代表の試合の行われる前日あるいは翌日に20歳以下の代表チームの試合が行われる。したがって20歳以下のチームはフル代表と一緒に活動し、フル代表のスパーリングパートナーとして機能しており、20歳以下のチームは常にワンランク上のチームの力を体験している。今年の20歳以下の6か国対抗で目立った活躍し示したエミリアン・ガイユトン、ルイ・ビール・ビアレイはこの大会に出場資格があるが、フル代表の合宿に呼ばれた。
 飛車角抜きのチームに思えるが、そのチームの中で最大の注目がロックのポロソ・トゥイランギである。トゥイランギという名字から本連載の読者の皆様はサモアを連想されるであろう。トゥイランギ6兄弟は末っ子のマヌ・トゥイランギはイングランド代表として活躍したが、それ以外の5人はサモア代表として活躍している。その中の1人であるヘンリー・トゥイランギはペルピニャンでプレーした。そのヘンリー・トゥイランギの子供がポロソ・トゥイランギである。

■フランスの初戦の相手は昇格してきた日本

 4年ぶりの大会は南アフリカで行われる。前回優勝のフランスはプールAで日本、ニュージーランド、ウェールズの順に対戦する。初戦の相手の日本は2019年の段階では下部大会であるワールドラグビーU20トロフィーに参戦し、長田智希、福井翔大という現在の日本代表のメンバーにも入った選手で決勝に進出、ポルトガルとの対戦はリードされて後半を迎え、終盤にトライを挙げ、逆転のゴールを決めて35-34で勝利、ワールドラグビーU20チャンピオンシップの復帰を決めた。
 近年の日本代表の充実ぶりを考えると、フランスにとって初戦で手ごわい相手と戦い、第2戦はニュージーランド戦が控え、この2戦でフランスは勝ち星を重ねたいところである。(続く)

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