第3250回 ラグビーワールドカップ開幕(2) 開幕戦でニュージーランドと対戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ポール・ウィレムスが離脱、バスチャン・シャルローがメンバー入り

 スタンドオフのロマン・エンタマックの負傷による離脱があったとはいえ、メンバー決定後の唯一の試合で豪州に41-17と完勝する。国内で合宿を行い、9月8日の開幕戦に備える。
 合宿中にロックのポール・ウィレムスが負傷し、バックアップメンバーのバスチャン・シャルローが入れ替わって入った。

■4年間で大きく変わった勢力地図

 プールの組み分けであるが、予選免除となる前回大会の12位(プール3位)までのチームは前回大会終了時点の世界ランキングで振り分けられる。この時点の世界のトップ4は南アフリカ、ニュージーランド、イングランド、ウェールズの順であった。現在世界ランキング3位のフランスは当時は7位で第2シードとなる。現在世界ランキング1位のアイルランドはこの時点では5位であり、4年間で勢力図が大きく変わっている。
 フランスの入るプールAは第1シードからニュージーランド、第3シードからイタリアが入り、予選を勝ち上がったウルグアイとナミビアが入る。フランスは大会全体の開幕戦となる初戦で世界ランキング3位のニュージーランドと対戦する。開催国であり、近年のフランスの充実ぶりを考慮すれば、決勝戦で実現しても不思議ではないカードであるが、4年間でそれだけ各国の力関係が変化したということであろう。
 フランスの33人の選手のうち、準々決勝に進出した2019年大会にも出場した選手はわずか8人である。ベテランが引退したというよりは1990年代末に生まれた黄金世代が一気に代表入りし、6か国対抗や夏秋のテストマッチで好成績を残してきた。

■フランスとニュージーランドを脅かす存在のイタリア

 5チームからなるプールで上位2チームに入れば、決勝トーナメントに進出できる。ただ、このグループAにはこの4年間で力を伸ばしてきたチームとしてイタリアがある。世界ランキングは低いが、近年の6か国対抗では内容のある試合を繰り返し、ワールドカップ前の最後のスパーリングマッチでは優勝候補の日本に42-21とダブルスコアで勝利している。
 一方、調子を落としているのがニュージーランドである。昨年はテストマッチで3連敗を喫し、今年7月の南半球4か国によるラグビーチャンピオンシップは3戦全勝(ワールドカップイヤーのため、ホームアンドアウエーではなく1回戦制で試合数を削減)したものの、ワールドカップ前最後のテストマッチはロンドンのトゥイッケナムで南アフリカと対戦、8万観衆の集まった試合、スコット・バレットの退場もあり、7-35と大敗を喫した。
 そのようにこれまでのような絶対的な力はないものの、開幕戦が大一番となり、そして負けたチームは決勝トーナメント進出をかけてイタリアと対戦(フランスは10月6日の最終戦、ニュージーランドは9月29日の第3戦)することになる。開幕戦で勝利したチームはその後の試合で余裕を持って戦うことができる。

■苦い思い出となった2007年大会の開幕戦のアルゼンチン戦

 振り返ってみれば、前回の自国開催となった2007年大会(一部の試合をウェールズ、スコットランドで実施)、9月7日にスタッド・ド・フランスで行われた開幕戦でフランスはアルゼンチンにノートライに抑えられて敗れる。予選プールの終盤まで不安な日々が続いたが、フランスがアイルランドに勝ち、プールの最後の試合でアルゼンチンがアイルランドを下したため、フランスはプール2位となって決勝トーナメントに進出、ところが、準々決勝の相手はニュージーランド、さらに試合会場はフランス国内ではなく、ウェールズのカーディフという苦しい状況となる。このニュージーランド戦でもリードを奪われ、残り10分の所で同点トライを挙げ、最終的にフランスは20-18とニュージーランドを破ることができた。もし、フランスが開幕戦でアルゼンチンに勝利していれば、カーディフでの劇的な勝利はなかったが、4位という最終成績ではなかったかもしれない。
 16年前の失敗を繰り返すまいと、ファビアン・ガルティエ監督以下は開幕戦に照準を絞ったのである。(続く)

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