第3528回 2025年6か国対抗優勝 (1) イングランドに1点差で逆転負けしたフランス

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■ウェールズに大勝、好スタートを切ったフランス

 このところの本連載ではチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでパリサンジェルマンのリバプール(イングランド)との対戦、UEFAネーションズリーグでのフランス代表とのクロアチア代表との対戦を紹介し、いずれも第1戦を落としながら、第2戦で追いつき、最終的にはPK戦で勝ち抜くというドラマチックな展開を紹介したが、これと並行してフランス国民を熱狂させたのがラグビーのフランス代表である。
 今年の6か国対抗は1月31日にフランス-ウェールズ戦で開幕した。この開幕戦の模様については本連載第3504回から第3506回で紹介した通り、フランスがウェールズを43-0という大差で下したことを紹介した。

■イングランドと接戦、同点で折り返す

 この勝利で大きく期待が膨らんだが、第2節でフランスはつまずいた。第2戦の相手はイングランドである。イングランドは第1節では2連覇中のアイルランドとダブリンで対戦、先制したが、その後、逆転され、後半終了間際にトライをあげて、ボーナスポイントを獲得したものの、22-27と敗れている。
 イングランド戦はロンドンのトゥイッケナムで行われた。ホームで2連敗は許されないイングランドはスタンドオフに若き天才フィン・スミスを初先発させる。フランスは第1節のウェールズ戦でレッドカードを受けたロマン・エンタマックに代わってジャリベールをスタンドオフに起用する。両チームともなかなかスコアできない展開となったが、先制点をあげたのはフランスであった。30分にルイ・ビール・ビアレイが左隅にトライ、トマ・ラモスがコンバージョンを成功させて、7点を先制した。これに対し、イングランドも34分過ぎからフランスのゴール前でフェーズを重ね、最後はオリー・ロレンスが中央にトライ、フルバックに回ったマーカス・スミスが同点のキックを決めて折り返す。

■後半は点の取り合い、最後にイングランドが逆転

 後半はフランスが先行し、イングランドが追い上げる展開となった。フランスはラモスがペナルティゴールを重ねて、6点リード、イングランドはフィン・スミスのひらめきからトミー・フリーマンがトライするが、ゴールは入らず、逆転できない。フランスはダミアン・プノーのトライで18-12と6点差として終盤を迎える。
 最後の10分間はめまぐるしい展開となった。70分にイングランドはフランスのゴール前でラインアウトのチャンス、すでに両チームとも選手交代は終わっており、イングランドはラインアウトから押し込んで交代出場してきたフィン・バクスターがトライ、キッカーをフィン・スミスに変えて、コンバージョンキックは成功、この試合初めてイングランドが19-18とリードする。フランスは75分にビール・ビアレイが今日2本目のトライをあげて逆転、さらにラモスのゴールが決まって逆転、6点リードで試合のクロージングに入る。逆転されたイングランドはセンターのヘンリー・スレイドに代えて、エリオット・デイリーを投入する。この起用が見事に的中、見事にフランス守備陣を突破して79分にトライをあげ、1点差に迫る。最後はこの試合のプレイヤーオブザマッチに選出されたフィン・スミスのコンバージョンが決まり、フランスは25-26と1点差で敗れてしまったのである。

■実力急上昇中のイタリアに大勝

 第3節では不振のウェールズが優勝候補筆頭のアイルランドに序盤はリードするが、最後はアイルランドが逆転、アイルランドは3連勝を飾る。イングランドは苦手のスコットランドに苦戦しながら、16-15と2試合連続の1点差勝利を飾る。
 フランスは伸長著しいイタリアとローマで対戦、オリンピック競技場には6万5000人の観衆が集まる。イタリアはファンの期待に応え、11分にトンマーゾ・マレンチェッロが先制トライをあげる。しかし、フランスはその後、トライの山を築き、終わって見れば11トライを記録し、73-24とフランスは大勝した。
 ウェールズとイタリアには大勝したが、イングランド戦の敗戦により、今年の優勝は難しいのではないか、という中でフランスは終盤戦を迎えたのである。(続く)

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