第3532回 2025年6か国対抗優勝 (5) イングランドはウェールズに大勝、暫定首位に

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■ウェールズに勝利すれば暫定首位になるイングランド

 今年の6か国対抗の最終節、3月15日に3試合が行われたが、前回の本連載で紹介したとおり、最初にキックオフを迎えた3位アイルランドはローマでイタリアを下して、この時点で首位になった。そしてアイルランドの勝利と同時に4位のスコットランドの優勝の可能性は消えた。
 欧州中央時間で17時45分キックオフとなるのがカーディフでのウェールズ-イングランド戦である。連敗の続くウェールズは最下位脱出に望みを託す。そして、この時点で順位が3位に落ちたイングランドであるが、勝利すればフランス、アイルランドを抜いて勝ち点19で暫定首位となる。

■優勝のために大量得点が必要なイングランド

 イングランドのスタンドオフのフィン・スミスのキックオフで始まった試合、イングランドはテンポよく攻める。いきなりウェールズのオフサイドを誘い、フィン・スミスのタッチキックでゴール前に前進する。5メートル地点からのラインアウト、イングランドはラックから主将のマロ・イトジェが先制トライ、フィン・スミスのコンバージョンも決まり7-0と先制する。16連敗中のウェールズであるが、8分にブレア・マレーがトライを決めたかに見えたが、取り消される。イングランドは10分にトム・ローバックがトライ、ゴールも決まって14-0とする。ウェールズは31分にベン・トーマスのトライ、ガレス・アンスコンブのゴールで7点差に迫る。
 イングランドはこの試合、勝利だけではなく、ボーナスポイントを獲得し、できるだけ点差をつけたい。というのもイングランドがボーナスポイント付きで勝利し、フランスがボーナスポイントなしで勝利した場合、勝ち点で並び、得失点差の勝負となるが、第4節を終えた時点の得失点差では大きくフランスがリードしているからである。

■イングランドの6か国対抗史上最年少トライを決めたヘンリー・ポロック

 その期待にまず応えたのが、34分のトミー・フリーマンである。フィン・スミスのパスを受けてゴールポストの下にトライする。フリーマンは、6か国対抗となってから全試合でトライをあげた初めてのイングランドの選手となった。ここから残りわずかな前半のうちにイングランドはチャンドラー・カニンガム・サウス、ウィル・スチュアートがトライを重ね、4トライ以上の与えられるボーナスポイントを獲得し、33-7で折り返す。
 後半は両チームとも選手交代が続く。この中でイングランドの20歳のフランカーのヘンリー・ポロックはセンターのフリーマンに代わって出場、代表デビューとなる。なかなかスコアが動かなかったが、先に得点をあげたのはイングランド、スクラムハーフのアレックス・ミッチェルが55分に自らが蹴りこんだボールをキャッチしてトライをあげ、リードを広げる。そして67分にはポロックがジョージ・フォードからのロングパスを受けて右隅にトライ、デビューしたばかりのポロックはイングランドの6か国対抗史上最年少でのトライスコアラーとなった。このトライの後のコンバージョンからキッカーとなったマーカス・スミスが難しい角度から決めて47-7と40点差をつける。

■10トライをあげて歴史的な大勝となったイングランド

 さらに交代出場のプロップのジョー・ヘイズもトライをあげる。ウェールズはベン・トーマスがようやくチームとして2本目のトライを返すが、イングランドは79分にポロックがこの日2本目のトライ、さらにホーンが鳴った後の82分にもカニンガム・サウスがチームとして10本目のトライをあげ、マーカス・スミスのキックがポストの間を通過して、試合は終了、イングランドは68-14と大勝した。これはイングランドにとってはウェールズ戦でのアウエーの最多得点、17連敗となったウェールズはホームでの最多失点、6か国対抗での最多失点という不名誉な結果に終わった。
 そして10トライをあげて54点差で勝利したイングランドは勝ち点を20としてフランス、アイルランドを抜いて首位に立ち、得失点差も+74と大きく伸ばし、フランスの結果を待つのである。(続く)

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