第473回 ドイツ行きへの天王山(1) フェロー諸島に快勝、ダブリン決戦へ
■再生フランス代表に高まる期待
9月、バカンスから戻りオフィスやキャンパスに再び人が行きかう季節である。そしてこのバカンス明けの9月初め、フランス代表はワールドカップ出場をかけて3日にホームでフェロー諸島戦、7日にアウエーでアイルランド戦を戦う。8月中旬のコートジボワール戦でジネディーヌ・ジダン、クロード・マケレレ、リリアン・テュラムを復帰させ、見事に快勝した再生フランス代表にファンの期待は高まる。
8月25日にこの2試合を戦う20人のメンバーが発表された。ジダン、マケレレ、テュラムの3人は引き続きメンバーに入り、コートジボワール戦のメンバーから外れたのは2試合出場停止となったダビッド・トレゼゲ、そしてリヨンのシドニー・ゴブーという攻撃陣の2人、そして代わりに入ったのはバルセロナのルドビック・ジュリーである。
■縁起のいい競技場にフェロー諸島を迎える
さて、フェロー諸島を迎えたのはランスのフェリックス・ボラール競技場、本連載でもご紹介している通り、ここを本拠地とするRCランスはインタートトカップを勝ち抜き、UEFAカップ出場を決めたばかりか、国内リーグでも好調である。また、忘れられないのは1998年ワールドカップでのパラグアイ戦、この試合フランスはワールドカップ本大会で最初のゴールデンゴールで勝利し、栄冠へ駆け上っていった。いわば縁起のいい競技場である。
■ワールドカップにかけるジブリル・シセが全得点にからむ
通常は「血と黄金」という愛称のRCランスのファンで赤と黄色に染まるこの競技場もこの夜ばかりは青一色となった。ジダン、マケレレ、テュラムの3人は先発メンバーとなり、トレゼゲを欠く攻撃陣はティエリー・アンリとジブリル・シセが2トップとなり、ジダンがこの2人を支える。
アンダーエイジでの試合での退場処分により、昨年の欧州選手権に出場できなかったシセにとって来年のワールドカップは心中期するものがあるはずである。コートジボワール戦は途中からの交代出場であったが、5月のハンガリー線依頼の先発出場となった。試合は自力に勝るフランスが試合開始直後から試合を一方的に支配する。上位チームの対戦成績が拮抗しているため、下位チーム相手の得失点差がドイツ行きを左右する可能性もある。試合を支配したフランスの先制点は13分、先発メンバーとして抜擢されたシセがフローラン・マルーダのセンタリングをヘッドで決める。その3分後に今度はフェロー諸島がチャンスをつかむが、フランス守備陣はよく守り、ピンチを逃れる。そしてこの試合唯一ともいえるピンチをしのいだフランスはシセがアンリへのセンタリング、これをフェロー諸島の選手に当たり、オウンゴールとなって差を広げる。
後半になってもフランスの試合支配は変わらない。そして76分には途中出場のシルバン・ビルトールからのパスを受けたシセが得点をあげる。これでスコアは3-0となり、安全圏に入り、守備陣もこれといった出番がないまま、試合終了となる。
■鍵を握る4強サバイバルゲーム、まずはダブリン決戦
シセが全得点にからむ大活躍をし、フランスは勝ち点3を上積みして勝ち点13となる。同じ日の午後にスイスのバーゼルで行われたスイス-イスラエル戦は1-1の引き分け、アイルランドはこの日試合がなかった。この結果、スイス、アイルランド、フランスの3チームが勝ち点13(3勝4分)で並び、イスラエルが勝ち点12で追うという大混戦となった。
注目すべき点はスイス、フランス、アイルランド、イスラエルという4強の間でこれで9試合行われているが、全てが引き分けに終わっていることである。逆に4強と2弱(キプロス、フェロー諸島)との対戦はこれまで11試合行われ、4強が11戦全勝と言う成績を残している。すなわち、4強と2弱の力の差は明白であり、4強の間の戦いでの1勝が大きくドイツ行きのチケットを掴むための鍵となる。その4強同士のサバイバルゲームはあと3試合、次は9月7日のダブリンでのアイルランド-フランス戦であり、フランスにとって大一番となった。(続く)