第996回 真夏のワールドカップ予選(2) 2位を狙うフランスと最下位が決定的なフェロー諸島
■フランスの所属するグループ7の順位
フェロー諸島とのアウエーで行われるワールドカップ予選でフランスはシーズン開幕を迎える。グループ7の順位を確認すると1位セルビア(勝ち点18)、2位フランス(10)、3位リトアニア(9)、4位オーストリア(7)、5位ルーマニア(7)、6位フェロー諸島(1)であり、セルビアが独走し、フェロー諸島が圧倒的に離れて最下位に沈んでいる。そして1位チームだけが直接本大会に出場、そして9つある2位チームのうち成績上位の8チームがプレーオフに進出する。
■特徴のある2位決定方法、消化試合数のばらつき
この順位と勝ち点を見ると、セルビアが首位を独走、フランス、リトアニア、オーストリア、ルーマニアはプレーオフに出場できる2位狙い、フェロー諸島は最下位が確定的にみえる。そして、2位チームによるプレーオフであるが、プレーオフ出場チーム決定の大会規定に注目しなくてはならない。欧州予選には53チームが出場し、9つのグループに分かれ、6チームからなるグループが8グループ、5チームからなるグループが1グループあり、グループによる試合数の違いから、2位チームの成績上位の8チームの決定方法は調整を加えなくてはならない。
5チームからなるグループ9(オランダ、スコットランドなどが所属)の場合は、通常通り全ての成績で2位チームを決定する。フランスの所属するグループ7のように6チームで形成されるグループの場合は、最下位チームとの対戦成績は除外し、1位から5位までのチームとの対戦成績のみをカウントして2位チームを決定する。すなわち、2位を狙うフランスにとって最下位が確定的なフェロー諸島との戦いは、まさか負けることはないであろうが、そのスコアはプレーオフ出場決定とは無関係であることからより親善試合に近いイメージでとらえることができる。
しかし、順位表をよく見てみると、各チームの消化試合数に差があり、セルビアとリトアニアが最も多い7試合消化、そしてオーストリアとルーマニアが6試合消化、フランスとフェロー諸島は5試合しか消化していない。すなわち、セルビアとフランスは勝ち点差で8も差があるが、実際にはそれほど離れていないのである。逆にフェロー諸島も大きく離された最下位に見えるが、オーストリア、ルーマニアよりも1試合少ないことを勘案すれば、実質的な差は勝ち点6よりも小さいと言えるであろう。
■侮れない相手となったフェロー諸島
そして弱小国のレッテルを貼られたフェロー諸島であるが、今予選は1分4敗と勝ちこそないものの、大敗はない。フェロー諸島の5試合の総得点は1だが、総失点を7に抑えている。同じ5試合消化したフランスは3勝1分1敗で勝ち点10、得点7、失点6ということで、総失点についてはフェロー諸島より1少ないだけである。
フェロー諸島はこれまでに3試合ホームで戦っているが、ルーマニア戦は0-1で惜敗、オーストリア戦は1-1のドロー、首位セルビアとも0-2と言う成績である。また、3月にはアウエーでアイスランドと親善試合を行い、2-1と勝利しており、なかなか手ごわい相手となった。
■短い準備期間でフェロー諸島入りしたフランス
フランス代表はリーグ開幕戦の翌日の9日の夜にクレールフォンテーヌに集合する。そして月曜日の10日には夕方から合同練習を行ったが、ティエリー・アンリが負傷のため、フェロー諸島行きのメンバーから外れてしまった。そして試合前日の11日の午前中にパリを特別機で飛び立ち、3時間弱のフライトでフェロー諸島へ向かう。ホテルではすでにフランスから先乗りしてきたファンが約20人おり、選手を歓迎した。フェロー諸島に到着したその日の夕方に軽く練習をして試合に臨む。このように準備期間は短く、その内容も軽いものであるが、相手との力関係を考慮しての内容となったのであろう。試合の前日の夜は29歳の誕生日を迎えたセバスチャン・スキラッチを祝うパーティーが行われ、巨大なケーキを選手・スタッフで平らげる。
そしていよいよ試合の日を迎える。フェロー諸島はフランスとは1時間時差があり、現地時間で17時キックオフ、フランス時間で18時にキックオフとなったのである。(続く)