第1012回 最終章を迎えたグループ7(1) プレーオフまで見据えた24人のメンバー選出
■プレーオフ出場が濃厚なフランス
10月、いよいよワールドカップ予選は最終節を迎える。昨年夏から始まった予選は10月10日と14日の2試合を残すのみとなった。この2試合を終え、グループで首位になれば、そのまま南アフリカ行きが決定、2位となった場合は11月に行われるプレーオフにチャレンジすることになる。
フランスは残り2試合ともホームで戦うこととなる。10月10日はギャンガンでフォロー諸島、10月14日はスタッド・ド・フランスでオーストリアと戦う。そして肝心のライバルたちの動向であるが、現在グループ7の首位はセルビア(6勝1分1敗、勝ち点19、得失点差+10)、2位フランス(4勝3分1敗、勝ち点15、得失点差+2)、3位オーストリア(3勝2分3敗、勝ち点11、得失点差±0)、4位リトアニア(3勝5敗、勝ち点9、得失点差-1)、5位ルーマニア(2勝3分3敗、勝ち点9、得失点差-3)、6位フェロー諸島(1勝1分6敗、勝ち点4、得失点差-8)となっている。数字の上では首位突破の可能性があるのは2位のフランスまでである。セルビアが残り2試合(10日:ホームでルーマニア戦、14日:アウエーでリトアニア戦)を1分1敗以下の成績で、フランスが残り2試合を連勝すれば、フランスが首位突破となるが、その可能性は大きくはない。
勝ち点だけを見れば、プレーオフ出場となる2位までに入るのはフランスと勝ち点6差の5位のルーマニアまで可能性があるように見える。しかし、実際には2位のフランスがホームで最下位のフェロー諸島と対戦することから、リトアニアあるいはルーマニアが連勝しても、フランスが連敗するということは考えにくい。またこれは3位のオーストリアも同様であり、フランスと最終戦で直接対決を残しているが、その4日前にフランスがフェロー諸島に勝利した段階でオーストリアの希望は消えてしまう。
すなわち数字の上ではいろいろなケースが想定できるが、フランスはプレーオフ出場が最も可能性が高く、プレーオフ出場を想定して最後の連戦に臨むであろう。
■フェロー諸島戦出場停止のウーゴ・ロリスと初招集のニコラ・デューシェ
このフェロー諸島戦、オーストリア戦に向けた24人のメンバーが10月1日に発表された。9月のルーマニア、セルビアとの連戦の際は23人が選出されていたが、人数が1人増えたのは理由がある。本連載第1006回で紹介したとおり、直前のセルビア戦でGKのウーゴ・ロリスがレッドカードで退場しており、フェロー諸島戦は出場停止となる。フェロー諸島戦はロリス以外がゴールを守る必要があるため、GKはロリスを含む4人が選出された。その4人はロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソに加え、レンヌのニコラ・デューシェが初めて代表に招集された。24人のメンバーで唯一の代表初招集である。
■ヨアン・グルクフが負傷のため外れ、ムッサ・シソッコが復帰
DFはウィリアム・ギャラス、エリック・アビダル、ジュリアン・エスクーデ、パトリス・エブラ、ロッド・ファンニ、バカリ・サーニャ、セバスチャン・スキラッチ、ガエル・クリシーの8人であり、9月と変わらない。
MFは代表発表直前にボルドーのローラン・ブラン監督からヨアン・グルクフが負傷のため出場できないと言う連絡が入った。アルー・ディアラ、ラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、アブー・ディアビの4人、攻撃的MFはフローラン・マルーダ、フランク・リベリーという9月のメンバーに加えて、8月のフェロー諸島戦の際に代表に初招集されながら試合出場が実現しなかったムッサ・シソッコがグルクフの代わりにメンバー入りした。
■復活のシドニー・ゴブー、右サイドで先発か
そして得点力不足が課題となっているFWであるが、所属チームのニースで調子の上がらないロイック・レミが外れ、シドニー・ゴブーが入り、ニコラ・アネルカ、カリム・ベンゼマ、アンドレ・ピエール・ジニャック、ティエリー・アンリとあわせて5人のメンバーである。
このように9月のメンバーから2人が外れて3人が入ったわけであるが、グルクフのポジションに復調してきたリベリーを起用し、右サイドの攻撃を新たに加わったゴブーに任せるという構想もあるであろう。
ベテランを待望する声も世論としてはあったが、今回もパトリック・ビエイラは声がかからなかった。この24人のメンバーで10月を戦い、11月の決戦に備えるのである。(続く)