第1031回 アイルランドとのプレーオフ(5) 圧倒的に優勢なアウエーで先勝したケース
■アウエーの第1戦を勝利したチームが本大会に出場
11月14日に行われたダブリンでの第1戦は終盤のニコラ・アネルカの幸運なゴールでフランスが先勝した。ホームアンドアウエー方式、しかも短期決戦においてこの勝利は非常に意味がある。
欧州域内のチーム同士がホームアンドアウエー方式で戦った1998年以降のプレーオフの成績を振り返ってみよう。アウエーの第1戦で勝利したチームは1998年ワールドカップ予選のユーゴスラビア(7-1でハンガリーに勝利)、2000年欧州選手権予選のイングランド(2-0でスコットランドに勝利)とデンマーク(5-0でイスラエルに勝利)、2002年ワールドカップ予選のトルコ(1-0でオーストリアに勝利)、2006年ワールドカップ予選のチェコ(1-0でノルウェーに勝利)と5回のケースがあるが、5回ともアウエーの第1戦で勝利したチームが本大会に出場している。
■気落ちしたチームはアウエーの第2戦では大敗
さらに詳しく見ると第1戦をホームで落としたチームはアウエーでの第2戦も元気なく、勝利したのは2000年欧州選手権予選のスコットランド(1-0で勝利、2試合通算では1-2)だけであり、残りの4試合はアウエーで大敗を喫している。1998年ワールドカップ予選の際のユーゴスラビアは第2戦も5-0と大勝、2000年欧州選手権予選のデンマークは3-0で連続完封勝ち、2002年ワールドカップ予選のトルコはホームではスコアを広げて5-0と大勝している。例外的なのは2006年ワールドカップ予選の際のチェコであり、2試合連続して1-0という最小スコアで連勝している。サッカーの母国と準母国のイングランドとスコットランドの対戦は例外中の例外であろう。
このように第1戦の結果が第2戦で増長されるのは、プレーオフが中3日というインターバルで行われ、第1戦をホームで落としたチームは、その結果に気落ちし、精神的に立て直す余裕無しに敵地に移動し、試合を行うからであろう。
■リトアニアとの中3日の連戦で調子を取り戻したフランス
中3日で同じチームとの対戦と言うと本連載第951回から第957回で紹介した今大会の予選のフランスとリトアニアとの対戦が相当する。それまでグループ7で3試合を消化して1勝1分1敗と低迷していたフランスは、本年3月28日と4月1日にリトアニアと連戦する。まず3月28日はリトアニアのカウナスで対戦し、4日後にスタッド・ド・フランスで試合を行う。流れを変えたいフランスは大幅にメンバーを変更し、代表歴の少ない選手を大量に起用する。
カウナスでの試合はリトアニアが守りを固めたが、フランク・リベリーの一撃でフランスが最少得点の1-0で勝利する。
そしてスタッド・ド・フランスでの試合は累積警告で出場停止の選手1人以外は同じメンバー、同じフォーメーションである。4日前の試合にも増して一方的な試合となり、スコアこそ1-0と僅差であったが、フランスは連勝する。フランスはこの連勝で息を吹き返し、連敗したリトアニアを勝ち点で上回り、今回のプレーオフ出場の伏線となった。
■記憶に新しいチャンピオンズリーグでのマルセイユの連勝
また、記憶に新しいところでは本連載第1025回で紹介したチャンピオンズリーグのマルセイユの戦いぶりである。それまでACミラン(イタリア)、レアル・マドリッド(スペイン)と言う強豪相手に連敗したマルセイユは第3節、第4節でFCチューリヒと連戦する。アウエーの試合で1-0と勝利したマルセイユは、ホームでは6-1と大勝する。チャンピオンズリーグの場合は中3日ではなく、2週間の間隔をあけて試合を行うが、アウエーの第1戦で勝利したチームがホームで大勝すると言うパターンは同じである。
今春のリトアニアとの連戦はフランスにとっては初めての中3日の同一の相手との連戦であり、今回のプレーオフはそれ以来の中3日での対戦となる。アイルランドとの連戦でも、フランスはホームで勝利したいものである。
フランスがアイルランドをスタッド・ド・フランスに迎える試合のキックオフは18日の21時、欧州4試合の中では最も遅い時間の試合開始である。(続く)