第1050回 2010年ワールドカップ展望 (3) グループAを首位で突破したいフランス
■明暗が分かれたフランスとポルトガル
前回の本連載では組み合わせ抽選の結果、フランスはグループAに入り、南アフリカ、メキシコ、ウルグアイとグループリーグを戦うことを紹介した。第1シードは欧州や南米の強豪国ではなく、開催国の南アフリカと対戦することになり、幸運な抽選結果となった。これは、フランスとともに11月のFIFAランキングでは第1シードに選ばれる力がありながら第4シードとなったポルトガルの抽選結果と比べてみれば、フランスがいかに恵まれていたかがよくわかる。ポルトガルはブラジル(第1シード)、北朝鮮(第2シード)、コートジボワール(第3シード)と同じグループGに入り、死のグループになった。
■アルゼンチンとの対戦を回避したい決勝トーナメント1回戦
今大会の大会規定は前回のドイツ大会と同様である。32チームが参加し、4チームずつ8つのグループリーグに分かれ、グループリーグの上位2チームが決勝トーナメントに進出、グループリーグで1位になったチームは隣接するグループの2位チームと決勝トーナメントで対戦する。同一のグループリーグで戦ったチームは決勝まで顔を合わせない。幸運なくじ運となったフランスは決勝トーナメントまで見据えてグループリーグを戦いたいところである。
グループAで首位となれば決勝トーナメント1回戦の相手はグループBの2位、グループAで2位になった場合はグループBの首位チームとの対戦となる。グループBはアルゼンチン、ナイジェリア、韓国、ギリシャである。この中で首位突破を果たす可能性が一番高いのがアルゼンチンである。フランスは2007年と2009年にフランス国内にアルゼンチンを迎えて親善試合を行っている。しかし、フランスの2戦2敗、両試合ともシャットアウトされており、フランスとしては避けたい相手であり、首位突破が望ましい。
また決勝トーナメント1回戦を突破すればグループC、グループDを勝ち抜いたチームとの対戦となる。グループCはイングランド、米国、アルジェリア、スロベニア、グループDはドイツ、豪州、ガーナ、セルビアと言う顔ぶれである。準々決勝で対戦するのはドイツあるいはイングランドが有力であるが、アルゼンチンよりはやりやすいであろう。つまりアルゼンチンとの対戦を回避できれば準決勝進出も夢ではない。
■大会開幕直後に南半球のウルグアイと対戦
その首位突破を目指すフランスの初戦の相手は南米の古豪、ウルグアイである。大会は6月11日に南アフリカ-メキシコ戦で開幕し、同日の夜にフランスはケープタウンで試合を行う。ウルグアイとは2002年のワールドカップ、2008年秋の親善試合と連続してスコアレスドローである。南米予選は5位に終わり、プレーオフで本大会にたどり着いたチームであるが、油断はできない。さらに今大会は南半球で行われる。季節の逆転するフランスにとって大会初期の段階での南半球勢との戦いは不気味である。
■高地で行われるメキシコ戦と南アフリカ戦
そして第2戦は16日にポロクワネでメキシコと対戦し、第3戦は22日にブルームフォンテーンで南アフリカと対戦する。メキシコの最近の対戦であるが、1996年の親善試合、2001年のコンフェデレーションズカップ、2006年の親善試合と3試合ともフランスが完封勝ちしている。南アフリカとは1997年の親善試合、1998年のワールドカップとフランスが連勝しているが、2000年の親善試合はスコアレスドローになっている。実はポロクワネ(高度1300メートル)もブルームフォンテーン(高度1400メートル)も高地にある。今大会の特徴として高地で行われる試合が多いが、メキシコも地元南アフリカも高地での試合は慣れたものである。フランスが南アフリカと引き分けた試合は高度1700メートルのヨハネスブルクで行われた。過去の対戦成績ではフランスの優位は揺るがないが、フランスは高地での試合に十分備えるべきであろう。
さらに、もしフランスがグループ2位になってしまうと決勝トーナメント1回戦はヨハネスブルクで行われ、フランスは3試合連続の高地での闘いとなってしまう。唯一フランスにとって救いとなるのは、アルゼンチンがグループリーグを3試合とも高地で行うと言うことであろう。(続く)