第1051回 2010年ワールドカップ展望 (4) フランスに広がる四強のチャンス
■4つのブロックに分けられる決勝トーナメント
前回の本連載では、フランスがグループAを首位で突破すれば、決勝トーナメント1回戦で苦手アルゼンチンとの対戦を回避することができ、ベスト4も現実的なものであるということを紹介した。決勝トーナメントは16チームで争われるが4つのブロックに分けて考えることができる。本連載はフランスと日本の読者の皆様が多いと思われるが、フランスの所属するグループAの首位が入るブロック、日本の所属するグループEの首位が入るブロック、グループAの2位が入るブロック、グループEの2位が入るブロックの4つである。
グループAからグループDまでのチームは準決勝までグループEからグループHまでのチームと対戦しない。グループAからグループDまでの16チームのうち2チームに準決勝進出の切符が用意されている。今回はこの16チームのうちどのチームが準決勝に進出するかを展望してみよう。
■ナイジェリアかギリシャが想定される決勝トーナメント1回戦
フランスの所属するグループAの首位は決勝トーナメント1回戦でグループBの2位と対戦する。この勝者は準々決勝でグループCの首位とグループDの2位の勝者と対戦する。そしてこの戦いで勝ち抜けば準決勝進出が決まる。
フランスが首尾よくグループAで首位になれば、決勝トーナメント1回戦の相手はグループB(アルゼンチン、ナイジェリア、韓国、ギリシャ)の2位である。アルゼンチンが首位になり、ナイジェリアとギリシャの間で2位争いが行われるであろう。ナイジェリアには昨年6月に親善試合で対戦しており、ホームの試合でありながらフランスは0-1と敗れている。一方、ギリシャとはフランスは過去の戦績は6勝1分1敗、この1敗は2004年の欧州選手権の決勝トーナメント1回戦での敗戦である。いずれのチームに対しても、今世紀になってからは苦い思い出はあるが、実力的にはフランスが上である。
■フランスと相性のいい欧州の強豪が相手となる準々決勝
準々決勝ではグループC(イングランド、米国、アルジェリア、スロベニア)の首位とグループD(ドイツ、豪州、セルビア、ガーナ)の2位の勝者と対戦する。欧州の強豪であるイングランドかセルビアが想定されるが、フランスはイングランドに対し最近4試合で3勝1分と相性がよく、今予選の順位では首位を譲ったセルビアも直接対決の結果はフランスが1勝1分と優勢である。つまりグループAで首位になれば準決勝進出の公算が高い。
■グループAで2位の場合は厳しい戦いとなる決勝トーナメント
一方、グループAでフランスが2位になった場合、グループAの2位はグループBの首位と対戦し、準々決勝ではグループDの首位とグループCの2位の勝者と対戦する。準決勝ではグループFとグループHの首位とグループEとグループGの2位の4チームから勝ち残ったチームが待っている。
この場合、グループBの首位はアルゼンチンが想定されることは前回の本連載で紹介したが、気になるのはアルゼンチンの所属するグループBの試合の消化日程である。グループBの最終戦は6月22日であり、グループAと同じであるが、キックオフが4時間半遅い。しかもアルゼンチンの最終戦の相手はギリシャである。アルゼンチンは、ナイジェリアと韓国相手に勝ち点を積み上げ、決勝トーナメント進出を確定したうえで決勝トーナメント1回戦の相手を選択することができる。アルゼンチンはフランスに連勝しているが、今回の南米予選ではウルグアイにも連勝している。さらに2008年にはメキシコと親善試合で対戦し、4-1と快勝している。すなわちアルゼンチンはグループAのチームは敵であるとは考えておらず、準々決勝以降の組み合わせを考えて首位での突破を図るであろう。
アルゼンチンの準々決勝の相手として想定されるのはグループDのドイツであろう。グループCはイングランドの力が抜け出ているため、米国、アルジェリア、スロベニアの2位争いとなるが、この3チームとの力を比較すれば、ドイツが準々決勝に進出すると考えるのが順当であろう。ただし、イングランドがグループCで首位になった場合、準々決勝で苦手のフランスと対戦しなくてはならないため、故意に2位になって決勝トーナメント1回戦でドイツ、準々決勝でアルゼンチンと言う対戦を選択するかもしれない。
グループAの2位チームが進出するブロックはアルゼンチン、ドイツ、イングランドの四強争いとなり、厳しい戦いとなるのである。(続く)