第1109回 ワールドカップに臨む23人(2) 24人がティーニュ合宿に招集
■レイモン・ドメネク監督の視察も期待はずれとなったパトリック・ビエイラの復帰
パトリック・ビエイラ、カリム・ベンゼマなどファンの期待するメンバーが30人の予備登録のリストから漏れ、相変わらずのことであるがフランス国内には論議が巻き起こった。
特にパトリック・ビエイラについては復調し、所属するマンチェスター・シティ(イングランド)では今年になってから14試合に出場している。そして5月9日にはプレミアリーグのウエストハムとの試合をレイモン・ドメネク監督がロンドンまで視察しており、ファンはいよいよビエイラ復帰か、と期待していただけに、その反動は大きかった。
■6人が外れた18日からのティーニュ合宿
そのような議論が巻き起こったが、フランス国内のシーズンは5月15日で終了し、フランス代表のメンバーは18日から25日まで恒例となったティーニュでの合宿に入る。そしてこのティーニュ合宿の前日にメンバーを24人に絞ったのである。
6人がメンバーから外れたわけであるが、まずGKではミカエル・ランドローが外れた。このところ代表のGKはウーゴ・ロリスが務め、ロリスが出場停止になったときにロリスの前のレギュラーであったスティーブ・マンダンダが出場する程度である。2007年11月を最後に代表チームでの出場から遠ざかっている30歳のランドローよりも、まだ代表での試合出場のない28歳のセドリック・カラッソを第3GKとして選択した。
■中央と右サイドのDFの控え選手を絞る
DFで外れたのは2人である。予選を通じて弱点であったセンターバックにはウィリアム・ギャラス、セバスチャン・スキラッチ、マルク・プラニュス、アディル・ラミなどが本職の選手である。この中で不動のレギュラーであると目されてきたギャラスの負傷からの回復がまだ思わしくない。また、フィリップ・メクセス、ジャン・アラン・ブームソンはドメネク監督との関係が悪く、メンバーから外れてしまっている。このように最大のウィークポイントであるが、その中からラミが外れ、初選出のプラニュスはティーニュ行きとなり、南アフリカへの道が近くなった。
もう1人をDFで外すポジションが右サイドDFである。このポジションのレギュラーはバカリ・サーニャであるが、30人の予備登録メンバーには控え選手としてロッド・ファンニとアントニー・レベイエールがリストアップされていたが、4年半ぶりに復活したレベイエールが残り、一昨年来、控えメンバーとして定着していたファンニが外れた。
MFについては、予備登録メンバーの発表の際に、プラニュスとともに初めての代表招集として注目を集めた19歳のヤン・エムビラもこの段階でメンバーから外れている。
FWは若手でフランス代表から遠ざかっていた2人が外れた。24歳のジミー・ブリアンと23歳のハテム・ベンアルファの2人である。2人とも最後の代表の試合は2008年のことである。2009年以降フランス代表の試合に出場しておらず、ブランクの長い2人がメンバーから外れた。
■スペイン国王杯を制して、遅れてティーニュ入りしたセバスチャン・スキラッチ
24人の選手は欧州各地からティーニュへ集まってきた。ほとんどの選手は18日の午後にティーニュ入りし、その日の夕方から軽い調整を始める選手もいた。負傷からの回復が懸念されるギャラスは一足先に15日に現地入りしてコンディションを整えている。他方、ティーニュ入りが遅れた選手も1人だけいる。スペインのセビリアに所属するスキラッチである。セビリアはスペイン国王杯の決勝に進出、アトレチコ・マドリッドとの決勝戦は19日にバルセロナのノウ・カンプ競技場で行われた。初代のヨーロッパリーグ王者のアトレチコ・マドリッドに対し、セビリアは2-0と勝利し、スキラッチはタイトルをぶら下げてティーニュ入りとなったのである。
ティーニュの合宿では、プラニュスのように初招集の選手や、レベイエールのように久しぶりの招集となった選手は公式スーツの採寸なども行われ、まだ雪の残るティーニュ中でリフレッシュを兼ねたスキーや準備運動で始まったが、1人だけ練習を休む選手がいたのである。(続く)