第1115回 ウルグアイと再戦、今回もドロー(1) サッカーよりも注目を集めたラグビーの試合

■ウルグアイ戦の翌日に行われるラグビーのテストマッチ

 いよいよ、ワールドカップが6月11日に開幕した。フランスのスポーツファンは6月12日のケープタウンでの戦いに注目した。読者の皆様はワールドカップが開幕するのは6月11日であり、同日の第2試合でフランスとウルグアイが対戦することから、6月12日ではなく11日の誤りではないか、あるいは時差の関係での表現になっていると思われるが、間違いではない。
 実は6月12日にケープタウンでラグビーのテストマッチの南アフリカ-フランス戦が行われるのである。

■5か国対抗参戦100周年をグランドスラムで飾る

 今季のフランスのラグビーについては本連載で取り上げてこなかったが、フランス代表は6か国対抗ラグビーで3年ぶりの優勝を飾っている。さらに今年は英国4協会にフランスが加わって5か国対抗となってからちょうど100周年と言う記念すべき年である。この記念すべき年にフランスは5戦全勝のグランドスラムで見事な大輪の花を添える。
 フランスのラグビーの活躍は代表チームだけではない。サッカーのチャンピオンズリーグに相当するヨーロッパカップの決勝は5月22日にスタッド・ド・フランスで行われたが、決勝の組み合わせはトゥールーズとビアリッツというフランス勢同士の戦いとなり、接戦の末、トゥールーズが22-19で勝利している。サッカーの世界では優勝はおろか、決勝にもフランス勢が進出することは珍しい。
 そして記憶に新しいのが2007年の自国開催のラグビー・ワールドカップである。フランスはこの大会で準々決勝で敗れてしまったが、大会の盛り上がりは、1998年のサッカーのワールドカップを上回る。1試合平均の観客動員数、国内でのテレビ視聴者数などでラグビーのワールドカップは本家サッカーのワールドカップをしのいだのである。

■世界チャンピオンと欧州チャンピオンの対戦に注目が集まる

 その盛り上がりを見せた2007年のラグビーのワールドカップで優勝を果たしたのが南アフリカなのである。南アフリカもラグビーでは強国であるが、サッカーは開催国という恩典に恵まれ出場したものの、本連載第1060回で紹介したとおり、今回のワールドカップ予選を兼ねた昨年のアフリカ選手権予選では敗退しており、ワールドカップ予選で敗退したにもかかわらず本大会に出場したことになる。
 したがって、このケープタウンの南アフリカ-フランス戦は2007年のワールドカップを制した世界チャンピオンに、今季の6か国対抗で優勝した欧州チャンピオンのフランスが挑戦するとあって、フランス国内では注目を集めたのである。

■予選突破以降、精彩を欠くサッカーのフランス代表

 フランスのラグビーの注目度が上がったと言っても、近年急に強くなったり、新しいスター選手が出現したりしたわけではない。真実としてはこのところのフランスの代表チームの情けない試合ぶりにファンが失望していることに原因がある。本連載でも紹介してきたとおり、アイルランドとのプレーオフを疑惑のハンドで勝ち抜いてから3月に行ったスペインとの親善試合では完敗、しかもスタッド・ド・フランスではスペインがボールを回すたびにファンから掛け声がかかり、テレビモニターにフランスの選手が移るたびにブーイングと言う有様であった。そして大会直前のティーニュ、チュニジア、レユニオンでの合宿での試合もコスタリカ、チュニジア、中国と言うワールドカップ出場を逃した格下の国を相手に戦い、第1戦のコスタリカ戦こそ勝利したものの、第2戦のチュニジア戦は引き分け、最後の第3戦は最も力が落ちると目される中国との対戦となったが、0-1と敗れている。1勝1分1敗という結果そのものだけで悲観することはないが、チームの調子は下り坂であり、さらに3戦ともGKを除くと同じ先発メンバーで戦い、新戦力や新システムのテストという機会も放棄した結果の、1勝1分1敗という戦績に誰しもが不満を持っているのである。
 このように国民がサッカーの代表チームに失望する中で、11日にウルグアイとの第1戦を迎え、その翌日には同じ都市でラグビーのフランス代表が南アフリカ代表と戦うのである。(続く)

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