第1123回 揺れるフランス、グループリーグで敗退(3) 勝ち点1での最終戦で3たび泣いたフランス

■勝ち点1での最終戦で敗れた2002年ワールドカップ

 前回と前々回の本連載では2002年のワールドカップ韓日大会で第2戦まで終えた段階で勝ち点1でありながら、第3戦で勝利し、他試合の結果にも救われて決勝トーナメントに進出したパラグアイとトルコを紹介した。しかし、この大会で勝ち点1で最終戦を迎えたのはパラグアイとトルコだけではなかった。グループAのフランス、ウルグアイ、グループHのチュニジアも勝ち点1で最終戦を迎えた。
 3チームとも決勝トーナメント進出の可能性はあったが夢は消えている。フランスの場合、第1戦でセネガルに敗れ、第2戦でウルグアイと引き分け、そして最終戦のデンマーク戦で2点差で勝利すれば決勝トーナメントで戦うことが可能であった。大会前の親善試合で負傷したジネディーヌ・ジダンが負傷をおして出場したものの、結果は逆のスコアで0-2でデンマークに敗れ、1点も取ることができず、グループリーグ敗退となったのである。

■イタリアと3たび戦うことになった2008年欧州選手権

 さらにフランスの国際大会の歴史においてグループリーグ最初の2戦で勝ち点1というのはこの2002年だけではなく、それ以外に2回ある。
 記憶に新しいのは2008年の欧州選手権である。フランスは2006年のワールドカップ準優勝チームとして、同年秋から始まった2008年欧州選手権予選ではワールドカップ決勝を争ったイタリアと同グループになる。イタリアに次ぐ2位で本大会出場を決めたが、本大会のグループリーグではまたもやイタリアと同グループになる。フランスとイタリアの因縁対決が注目されたが、この両チームはグループリーグの最終戦で対戦することになった。

■イタリアとの直接対決に敗れたフランス

 ところが両チームとも第1戦、第2戦でつまずき、オランダに3点差の大敗、ルーマニアに引き分けて勝ち点1、得失点差-3で最終戦の直接対決を迎える。この段階で2勝したオランダが決勝トーナメント進出、しかも首位突破を決め、勝ち点2のルーマニアと対戦する。ルーマニアがオランダに勝利すれば、フランスもイタリアも決勝トーナメント進出を逃すが、ルーマニアが引き分け以下の場合、フランスとイタリアの勝者が決勝トーナメントに進出する。br />  オランダとルーマニアの試合、前半は無得点。フランス-イタリア戦はオランダ-ルーマニア戦と同時刻にキックオフされるが、前半25分にフランスはPKで先制点を与えてしまう。後半に入り、オランダはルーマニアに対し得点を重ね、そしてフランスはイタリアに追加点を奪われてしまい、2-0というスコアでオランダとイタリアが勝利する。オランダに続いてイタリアが決勝トーナメントに進出し、フランスはグループリーグ最下位となったのである。

■ホームタウンアドバンテージに泣いたイングランドでの1966年ワールドカップ

 そして、あと1回は1966年のワールドカップ・イングランド大会である。フランスは予選でユーゴスラビア、ノルウェー、ルクセンブルグと同じグループに入るが、アウエーのユーゴスラビア戦に負けただけで5勝1敗という成績でサッカーの母国で行われたこのワールドカップへ出場する。
 本大会のグループリーグは基本的に欧州2か国、南米1か国、それ以外から1チームとなるように抽選が行われ、フランスは開催国イングランド、南米のウルグアイ、北中米のメキシコと同じグループになった。フランスの第1戦はウェンブリー競技場でメキシコと1-1のドロー、第2戦は同じロンドンにあり、1908年のロンドンオリンピックのメイン会場となったホワイトシティ競技場に移動しウルグアイと対戦、0-1で敗れた。最終戦はウルグアイ-メキシコ戦が1日早く行われドロー、イングランド-フランス戦を迎える段階でウルグアイが勝ち点4、イングランドが勝ち点3、メキシコが勝ち点2、フランスが勝ち点1(当時は勝利の勝ち点は2)であり、フランスがイングランドに得点差をつけて勝利すれば、決勝トーナメントに進出可能であった。
 ところが、この大会はイングランドのホームタウンアドバンテージが問題となる。主審はペルーの日系人のアツロー・ヤマサキ氏、明らかにイングランドびいきのレフリングでフランスはイングランドの前に0-2と敗れたのである。  このように勝ち点1での最終戦は困難であるが、その困難に立ち向かおうとしているときに思いもかけない事実が明らかになったのである。(続く)

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