第1530回 フランス-スペイン直接対決(3) グルジアに快勝、スタッド・ド・フランスで半年ぶりに勝利

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スペインに引き分け直前まで持ち込んだグルジア

 来年のワールドカップ行きの切符を左右する3月22日と26日の予選、26日にフランスとスペインは直接対戦するが、その前の22日にフランスはグルジアをスタッド・ド・フランスに迎え、スペインはヒホンにフィンランドを迎える。
 フランス、スペインともホームで下位チームに勝利して直接対決を迎えたいところである。スペインは20時45分にキックオフ、フランスはそれより15分遅れてキックオフとなる。
 スタッド・ド・フランスはほぼ満員の観衆、グルジアは現在グループ3位で試合消化数はフランスより多いが、フランスに勝利すれば勝ち点で並ぶ。昨年9月11日にスペインをホームに迎えた試合では0-1と敗れたものの、試合終了4分前まで無失点、あわやスコアレスドローか、と世界王者をひやりとさせた。

■19歳のラファエル・バランと20歳のポール・ポグバが先発出場

 その油断ならぬ相手にディディエ・デシャン監督は4-4-2システムで臨む。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からクリストフ・ジャレ、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコ、ガエル・クリシー、守備的MFは右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、攻撃的MFは左右に大きく開き、右にマチュー・バルブエナ、左にフランク・リベリー、そして2トップは右にカリム・ベンゼマ、左にオリビエ・ジルーである。
 なんといっても前回の本連載でも紹介した19歳のバランと20歳のポグバの2人がそろって代表にデビューしている。2人が先発で代表にデビューするというのはワールドカップや欧州選手権が終わり新チームに切り替わる段階であれば、ありうることであるが、ワールドカップや欧州選手権の予選の試合では極めて珍しいことだろう。 2人の潜在能力もさることながら、4日後にスペイン戦が控えていることも大きく影響している。グルジア戦を迎える段階でイエローカード1枚という選手がマツイディ、ヨアン・カバイエ、マキシム・ゴナロン、ローラン・コシエルニーの4人である。このうちマツイディ、カバイエ、ゴナロンの3人は守備的MF、コシエルニーはストッパーである。フランスとしては大一番のスペイン戦の前に累積警告が2回となってスペイン戦に出場できないという状況を避けたいところである。したがって、守備的MFのマツイディだけを先発として起用し、それ以外の選手を先発から外した。その結果として、守備的MFのポグバとストッパーのバランに出場のチャンスが回ってきたのである。
 もちろんこういう幸運も選手として重要なことであり、この幸運を次につなげることができるかが選手としての真価を問われる部分であろう。

■オリビエ・ジルーが前半ロスタイムに先制点

 1人をトップに残し、守備的な布陣のグルジアに対し、フランスが期待通り、序盤から圧倒する。開始早々にリベリーがシュートを放つが、惜しくもクロスバー、その後も一方的にグルジアを攻めたてるが、なかなかゴールを奪うことができない。前半半ばの23分にはベンゼマがシュートを放つが、グルジアのGKのセービングにはばまれる。フランスのサッカー選手として最高給のベンゼマ、このところなかなか代表チームでは結果を出すことができず、辛いところである。一方のグルジアもカウンターからロリスの守るゴールを脅かす。このまま無得点でハーフタイムかと思われた前半ロスタイム、ジルーが均衡を破り、バルブエナのFKをヘディングでゴール、1-0で折り返す。

■マチュー・バルブエナとフランク・リベリーが追加点

 フランスは後半も攻撃を続け、48分にはスピードに乗った攻撃からバルブエナが2点目を決める。スタッド・ド・フランスで日本戦、ドイツ戦と連敗中のフランスが見違えるようなゴールを連続する。さらに61分にはリベリーが自らのドリブルから3点目をあげる。
 グルジアもカウンターアタックから70分に1点を返すが、3-1とフランスが勝利する。スタッド・ド・フランスでの勝利は昨年9月11日のベラルーシ戦以来半年ぶり、そして代表デビューした若い2人はフル出場、スペイン戦に向けて弾みがついたのである。(続く)

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