第1531回 フランス-スペイン直接対決(4) ホームでフィンランドと引き分けたスペイン

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■消化試合数が少なく最下位のフィンランド

 3月26日のスタッド・ド・フランスでのスペインとの直接対決を迎えるフランス、その4日前の22日に行われたグルジア戦で快勝したことを前回の本連載で紹介した。一方のスペインであるが、同日にフランスより15分早くフィンランドとヒホンで対戦している。フィンランドはまだ2試合しか消化しておらず、1分1敗。勝ち点だけ見ればグループIの最下位である。スペインとのアウエーゲームで守りを固め、何とか失点を防いで大量失点での敗戦を回避し、できればこの最大の難関をドローに持ち込み、今後につなげたいところである。

■代行主将のセルヒオ・ラモスの先制点も実らず、追いつかれてドロー

 試合はその通りの展開となった。フィンランドの厚い守備に阻まれ、スペイン自身も攻撃はするものの決定力に欠け、なかなか得点をあげることができない。両チーム無得点のままハーフタイムを迎える。この段階ではスタッド・ド・フランスでのフランス-グルジア戦も両チーム無得点であり、首位争いをするチームが下位のチームの守備的な戦いを崩し切れていないという構図がピレネー山脈の両側で展開されていたのである。
 前回紹介した通り、フランスは前半ロスタイムに1点を先制したが、スペインも後半の立ち上がりに得点をあげる。49分、この日イケル・カシージャスに代わって主将を務めるセルヒオ・ラモスが待望のゴールをあげる。しかしここからが大きく違った。フランスもスペインも圧倒的に試合を支配し続けたが、追加点をあげたフランスに対し、スペインは79分に同点ゴールを許してしまう。スペインは勝ち越し点をあげることができず、ワールドカップ出場経験のない北欧の国相手にホームで引き分けてしまったのである。

■首位が入れ替わり、首位フランス、2位スペイン

 この結果、グループIの順位は次の通りになる。首位は3勝1分勝ち点10のフランス、2位のスペインは2勝2分で勝ち点8、フランスに敗れたグルジアが3位で1勝1分3敗で勝ち点4、4位はベラルーシで1勝3敗で勝ち点3、スペイン相手に引き分けたフィンランドは試合消化数が少なく最下位で、2分1敗で勝ち点3となっている。3位のグルジアと4位のベラルーシはフランス、スペインよりも試合消化数が1つ多いにもかかわらず、勝ち点で4以上の差がついているため、首位争い、プレーオフ進出争いはフランスとスペインが有力になった。特に勝ち点で2リードするフランスが勝利すれば本戦出場はかなり有力になる。一方のスペインであるが敗れるか、引き分けに終わると首位突破は難しくなる。
 一方、スペインが勝利すれば、フランスを勝ち点で上回り、両国の直接対決はもうないことから、スペインが首位突破に向けてリードすることになる。
 3月26日の直接対決は両国にとって首位で突破するか、2位となってプレーオフに進出するかを大きく左右する戦いである。

■負傷者の多いスペイン、注目のフランス戦メンバー

 グルジア戦の快勝でその勢いを持続したいフランス、一方のスペインは前々回の本連載で紹介した通り、負傷者が多く、特に主将のカシージャスを欠き、精神的支柱の不在は大きい。前々回の本連載で紹介した通り、フェルナンド・トーレスも負傷でメンバーから外れているため、フィンランド戦ではセスク・ファブレガスを起用したが、機能しなかった。バルセロナに所属するシャビはチャンピオンズリーグのACミラン戦で負傷し、24人のメンバーに入っているが、フィンランド戦のベンチには入っていなかった。ビセンテ・デルボスケ監督もフランス戦は背水の陣であり、シャビの強行出場も想定される。
 そして、2月の親善試合のウルグアイ戦ではかつてマルセイユに所属し、現在はイングランドのチェルシーのセザール・アスピリクエタが初めて代表入りしている。アスピリクエタはフィンランド戦ではベンチにとどまっていたが、手の内をよく知るフランス戦では起用されるであろうか。(続く)

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