第1599回 ワールドカップ予選でグルジア、ベラルーシと対戦(3) グルジアとスコアレスドロー
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■グルジア相手に勝利し、スペインにプレッシャーを与えたいフランス
グルジアの首都トビリシに試合の前々日に乗り込んだフランス、相手のグルジアはワールドカップ予選5試合でわずか1勝、グループIの最初の試合となる昨年9月7日のベラルーシ戦で勝利してから1引き分けをはさみ3敗、世界ランキングもこの1年で56位から97位と大幅にダウンしている。グルジア代表を4年前から率いるテムリ・ケツバイア監督もおそらく今回の予選終了後に監督の座を去ることになるであろう。
フランスとグルジアの時差は2時間、現地時間で22時15分というキックオフ時間は明らかにフランスでのテレビ視聴者を意識したものであろう。そしてスペインはフィンランドとアウエーで対戦するが、スペインの試合はフランスの試合よりも15分遅くキックオフされるため、フランスはグルジアから早目の得点を奪ってスペインに心理的プレッシャーを与えたいところである。
■欧州最優秀選手に輝いたフランク・リベリー
そのために欲しいのはゴールである。ゴール欠乏症に悩むフランスに朗報が舞い込んだ。それはフランク・リベリーがバロンドール、欧州最優秀選手に選ばれた。フランス人としてはレイモン・コパ、ミッシェル・プラティニ、ジャン・ピエール・パパン、ジネディーヌ・ジダンに次ぐ5人目の快挙である。ドイツのバイエルン・ミュンヘンに所属するリベリーはパス、センタリングでライバルのリオネル・メッシやクリスチャン・ロナウドを上回る成績を残し、チャンピオンズリーグ優勝に貢献した。
■1トップから2トップに変更したフランス
ディディエ・デシャン監督はこれまでの4-2-3-1システムから4-4-2システムに変更する。フランスの先発メンバーは次の通りである。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、エリック・アビダル、パトリス・エブラ、MFは守備的な位置は右にムーサ・シソッコ、左にジョシュア・ギラボギ、攻撃的な位置には右がマチュー・バルブエナ、左がリベリー、そして2トップは右にカリム・ベンゼマ、左にオリビエ・ジルーという布陣である。ここまで1155分間無得点のベンゼマを起用し、イングランドのアーセナルで今季5試合で4得点をあげているジルーとコンビを組ませる。
■攻め続けるもノーゴール、開くスペインとの差
試合は一方的にフランスがボールを支配した。前半12分にはリベリーが絶好のチャンスを得るが、シュートは枠から外れる。リベリーもベンゼマ同様に代表チームでの成績は所属クラブでの成績に遠く及ばない。得点だけではなく、アシスト、パスについてもクラブでの成績が上回っている。まさにその数字が物語るようなシュートミスであった。
その後もフランスはゴールネットを揺らすことができないまま時間は経過し、逆に26分にはFKからグルジアが得点のチャンスをつかむが、ゴールには至らない。29分位はベンゼマがチャンスをつかむが、グルジアのGKジョルジ・ロリアにシュートは阻まれる。38分にはバルブエナのFKがグルジアGKにパンチングされる。フランスは試合を支配しながらも無得点でハーフタイムを迎え、ストレスのたまる中で後半を迎える。
後半開始時に選手交代をしなかったデシャン監督であるが、次々に選手がウォーミングアップを開始する。フランスで最初の選手交代は62分、ベンゼマに代えてアンドレ・ピエール・ジニャック、3年ぶりに代表の試合への出場である。68分にさっそくチャンスが訪れるがジニャックまで決定的なチャンスを外す。78分にはギラボギに代えてサミール・ナスリを投入、84分にはナスリとリベリーがワンツーパスを決めて決定機を迎えるがここもグルジアのGKが得点を許さない。どうしても勝利が欲しいフランスであるが、結局、ノーゴールでスコアレスドローとなってしまう。
一方、スペインはフィンランドに2-0と勝利し、この時点でフランスはスペインとの勝ち点差が3と開いたのである。(続く)