第1610回 プレーオフ見据えた10月の連戦(1) ラファエル・バラン、負傷から5か月ぶりの復帰

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■10月の2試合の位置づけ

 10月になり、ワールドカップ予選はいよいよファイナルを迎える。フランスの所属するグループIは首位のスペインが2試合を残している。それ以外のチームは1試合を行い、2日間あるインターナショナルマッチデーのうち予選のない日は親善試合を行う。
 これまでの本連載で紹介した通り、フランスは9月の段階でほぼ2位が確定しており、プレーオフに出場することになるであろう。そしてプレーオフでは下位シードとして第1戦をホームで戦い、第2戦をアウエーで戦うことになるであろう。11月中旬に行われるプレーオフまでの2か月間、フランスはプレーオフに向けた準備をすることになる。そしてこの60日強の準備期間で実際に試合をすることができるのはわずか2試合、10月11日の親善試合の豪州戦と15日の予選最終戦のフィンランド戦だけである。この2試合は勝つことよりもむしろ試合内容の問われる連戦であり、また攻撃陣を中心に不本意な戦いの続く中で新戦力を発掘するチャンスである。

■23人のメンバーの顔ぶれ

 ディディエ・デシャン監督は10月3日にこの2試合に臨む23人の選手を発表した。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ミカエル・ランドローの3人、DFはマチュー・ドビュッシー、エリック・アビダル、ガエル・クリシー、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコーの8人、MFはブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、ムーサ・シソッコ、クレマン・グルニエ、ヨアン・カバイエ、サミール・ナスリの6人、FWはフランク・リベリー、マチュー・バルブエナ、ディミトリ・ペイエ、カリム・ベンゼマ、オリビエ・ジルー、ロイック・レミーの6人となる。

■グルジア戦、スペイン戦で先発出場した20歳のラファエル・バラン

 9月の連戦のメンバーに入っていなかったのはDFではサコーとバラン、MFはカバイエ、FWではレミーである。復帰メンバーで注目はバランであろう。18歳でスペインのレアル・マドリッドと契約したバランは19歳の昨年8月にデシャン新体制の初陣となるウルグアイ戦に招集された。今年2月のドイツとの親善試合にも招集されながらも試合出場には至らなかったが、代表にデビューしたのは3月22日のグルジアとのワールドカップ予選であった。4日後に大一番のスペイン戦を控えており、実力差のある対戦相手であるという条件も重なった中で19歳11か月で代表にデビューとなったが、続くスペインとの試合では堂々先発出場の座を勝ち取った。スペイン戦は0-1で敗れたものの、コシエルニーとストッパーを組んだ守備は高く評価された。

■昨季終盤の負傷から5か月ぶりに復帰

 このまま順調に代表のレギュラーの座に定着するかと思われたが、スペインリーグの終盤のエスパニョール戦でガーナ代表のワカソ・ムバラクと接触し負傷してしまう。バランはリーグ戦の最終戦だけではなく、スペイン国王杯の準決勝の第1戦でゴールをあげ、決勝進出に貢献していたが、決勝に欠場した。さらにシーズン後に行われたフランス代表の南米遠征、フランスが優勝したU-20ワールドカップ、いずれにも参加できないつらいシーズンオフを送ったのである。
 そしてスペインリーグは8月中旬に開幕したが、バランの回復は開幕には間に合わなかった。そしてようやくバランがピッチに戻ってきたのは10月2日のことである。チャンピオンズリーグのグループリーグの第2節のFCコペンハーゲン(デンマーク)戦、国内リーグ戦とチャンピオンズリーグを合わせて今季9試合目となった試合でようやく背番号2の若武者が5か月ぶりに戻ってきた。レアル・マドリッドが完封勝利した翌日にデシャン監督はバランの名前をリストに付け加えたのである。
 一方、攻撃陣はピエール・アンドレ・ジニャックを外し、ロイック・レミーを復活させたが、無失点記録をストップしたベラルーシ戦の勢いを継続することができるだろうか。(続く)

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