第1613回 プレーオフ見据えた10月の連戦(4) 豪州の挑戦を受けるフランス

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チケットの販売に苦労するフランス代表

 フランス代表にとっては6年ぶりのパルク・デ・プランスでの試合となる豪州戦、パリのファンにとっては市内にあり、交通アクセスも良いはずであるがチケットの売れ行きはよくない。パルク・デ・プランスはパリサンジェルマンの本拠地であり、パリサンジェルマンの試合ではほぼ満員となるが、今回の豪州戦のチケットの売れ行きはよくなく、結局家族4人で40ユーロというファミリーチケットを販売して、なんとか3万8000人の観衆が集まった。これはファンのフランス代表に対する期待度が低いことを顕著に表していると言えるであろう。
 さて、この試合は親善試合であるが、4日後にスタッド・ド・フランスのフィンランド戦はワールドカップ予選である。パルク・デ・プランスではワールドカップ予選が行われたのは今からちょうど20年前の1993年秋のことである。10月13日にはイスラエルに敗れ、11月17日にはブルガリアに敗れている。それから20年後の秋、再びフランス代表は苦戦する秋となった。

■ベラルーシ戦と半数を入れ替えたディディエ・デシャン監督

 注目の先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からマチュー・ドビュッシー、ラファエル・バラン、エリック・アビダル、パトリス・エブラ、守備的MFは右にヨアン・カバイエ、左にポール・ポグバ、攻撃的MFは右にロイック・レミー、中央にサミール・ナスリ、左にフランク・リベリーと並び、FWは1トップでオリビエ・ジルーである。
 代表で1217分間無得点の続くカリム・ベンゼマは9月のベラルーシ戦に続き、先発メンバーから外れた。そのベラルーシ戦はフランスが4-2と久しぶりに得点をあげて勝利したが、この時の先発メンバーと比較すると一番後ろのGKはロリス、一番前のFWはジルーと同じであるが、DFはアビダル以外は入れ替わり、ガエル・クリシーはベンチスタート、ローラン・コシエルニー、バカリ・サーニャはメンバーから外れている。守備的MFもブレーズ・マツイディに代わってカバイエが入っている。攻撃的MFも左のリベリーは同じであるが、右はディミトリ・ペイエからレミーになり、中央はマチュー・バルブエナからナスリへと変わっており、半数のメンバーが入れ替わっている。前半無得点で先制点を奪われたベラルーシ戦の内容ではまだディディエ・デシャン監督は満足していないのであろう。

■Jリーガーとして国際Aマッチで初めてパルク・デ・プランスのピッチに立つルーカス・ニール

 一方の豪州であるが、アジア最終予選グループBを日本に次ぐ2位で突破し、9月にはブラジルと親善試合を行っているが、0-6と大敗している。日本でもおなじみのホルガー・オジェック監督は前回の本連載で紹介した通り、今回の欧州遠征のメンバーからベテランを外したが、それでもトップ下には33歳のティム・ケーヒル、右サイドの攻撃的MFには33歳のマーク・ブレッシャーノ、最終ラインには35歳のルーカス・ニールという年齢を重ねた選手が名を連ねる。
 なお、ニールは日本の皆様ならよくご存じのとおり大宮アルディージャの選手である。かつて日本代表が欧州遠征の際にパルク・デ・プランスでパリサンジェルマンと対戦したことがあるが、それを除くとJリーグの選手として初めてこのパルク・デ・プランスで試合をすることになったのがこのニールであり、ベンチに控えている名古屋グランパスのジョシュア・ケネディにもそのチャンスはある。FIFAの認める国際AマッチでついにJリーグの選手が数々のドラマの舞台となったパルク・デ・プランスのピッチに立つことになった。

■アジア予選を突破した豪州と日本は欧州で力試し

 アジアから予選を勝ち抜いた他の国であるが、韓国もイランも自国にとどまり、韓国はブラジル、マリと、イランはタイと親善試合を行うが、豪州と日本は欧州遠征をして力試しを行う。日本がセルビア、ベラルーシといういずれも予選敗退が決まったチームと対戦、そして豪州がプレーオフに臨もうとするフランスと対戦する。アジア最終予選で争った東経135度のライバルが欧州に乗り込んだのである。(続く)

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