第1617回 プレーオフ見据えた10月の連戦(8) フランス、ゴールラッシュでフィンランドに完勝
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■本大会、プレーオフ出場のかかった試合は同時刻にキックオフ戦
スタッド・ド・フランスにフィンランドを迎えたフランス、10月15日21時(フランス時間=中央欧州時間、以下時間の表記は同じ)にキックオフであるが、同時刻にスペインはグルジアを迎えてキックオフ、さらに欧州全域で試合が行われる。
広い欧州であり、同時刻にすべての試合をキックオフすることはできないが、それでも本大会出場のかかった試合は同時刻にキックオフされる。例えばボスニア・ヘルツェゴビナとギリシャが勝ち点22で首位に並んでいるグループGはギリシャ-リヒテンシュタイン、リトアニア-ボスニア・ヘルツェゴビナ、ラトビア-スロバキアの3試合が行われるが、首位のかかったギリシャ-リヒテンシュタイン戦とリトアニア-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は19時にキックオフ、3位以下の順位にしか影響しないラトビア-スロバキア戦は21時にキックオフとなっている。これは熾烈なプレーオフ進出争いが繰り広げられているグループBも同様であり、プレーオフ進出の可能性があるのはブルガリアとデンマーク、デンマーク-マルタ戦とブルガリア-チェコ戦は20時15分キックオフ、すでに本大会出場を決めているイタリアの試合(アルメニア戦)は20時45分キックオフとなっている。
■現地時間で22時にキックオフされるアゼルバイジャン-ロシア戦
これが大混戦となっているグループHの場合はイングランド、ウクライナ、モンテネグロ、ポーランドの4チームが1位または2位に関わる。最終戦の組み合わせはモンテネグロ-モルドバ、サンマリノ-ウクライナ、イングランド-ポーランドであり、3試合すべてがクリティカルの状況になる。3試合とも21時キックオフである。試合の行われるイングランドとモンテネグロ、サンマリノの時差は1時間であるが、ウクライナとの時差は2時間である。グループ2位で最下位のサンマリノと対戦するウクライナのファンはキックオフの時点ですでに22時である。
そして最も時差が大きいのがグループFである。首位ロシアが勝ち点21(得失点差+15)、2位ポルトガルが勝ち点18(得失点差+8)となっておりほぼ確定しているが、数字の上では逆転可能である。ポルトガル-ルクセンブルク戦もアゼルバイジャン-ロシア戦も19時キックオフ。当該国の現地時間ではポルトガルでは18時キックオフ、アゼルバイジャンでは22時キックオフとなり、ロシアのモスクワのファンも22時にテレビの前に集合することになる。
■フランク・リベリーの先制ゴール
このように欧州全域で26試合が繰り広げられる10月15日、スタッド・ド・フランスに集まった7万のファンは奇跡を期待するが、現実的にはプレーオフを勝ち抜くためのチームの復調を期待する。
そしてファンの期待通りの試合展開となる。8分、左サイドのフランク・リベリーがまたも得点を演出する。左サンドからスピード感のあるドリブルで回り込み、ペナルティエリアの外から約20メートルのミドルシュート、フィンランドのGKも届かず、バーに当たってゴールイン。フランスは豪州戦に引き続き、幸先の良いスタートを切る。
■復調したか、カリム・ベンゼマ2試合連続ゴール
その後もフランスが一方的にボールを支配し、次々とシュートを放つが、なかなか追加点は生まれない。そして追加点はサイドの変わった後半の76分、右サイドのマチュー・ドビュッシーがゴール前のオリビエ・ジルーにクロスをあげる。このクロスをジルーがヘディングで合わせる。シュートの先にはフィンランドのDFが守っていたが、GKと交錯したこともあり、このシュートを自ゴールに蹴り込んでしまう。
記録上はフィンランドのオウンゴールであったが、実質的に2点目を決めたジルーは81分にピッチを去り、復調を目指すカリム・ベンゼマがピッチに入ってくる。87分にはリベリーが右サイドを駆け上がり、センタリングの機会をうかがう。リベリーはベンゼマにクロスをあわせ、ベンゼマが左足のボレーで豪快にネットを揺らす。ベンゼマはこれで2試合連続得点、出場48分間で2ゴールとそれまでの沈黙を破ったのである。(この項、終わり)